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 平成14年版 犯罪白書 第5編/第1章/4 

4 暴力的9罪種の統計から見た動向上の特質

 5-1-1図は,[1]窃盗を除く一般刑法犯,[2]暴力的9罪種全体,[3]窃盗を除く一般刑法犯から暴力的9罪種を除いたもの([1]から[2]を減じたもの)の各認知件数の推移を見たものである。

5-1-1図 暴力的9罪種等の認知件数の推移

 なお,本編においては,交通関係業過を除く刑法犯を一般刑法犯とする。
 窃盗を除く一般刑法犯は,平成7年まで20万件前後で推移していたが,8年から一貫して上昇し,12年以降は急増している。しかし,窃盗を除く一般刑法犯から暴力的9罪種を除いたものは,10ないし15万件の間を推移しており,8年以降も横ばいで増加傾向は認められない。すなわち,窃盗を除く一般刑法犯の8年以降の増加傾向は,暴力的9罪種の増加によるものであることが指摘できる。認知件数の対前年増加率を見ると,暴力的9罪種は,昭和49年から,窃盗を除く一般刑法犯をおおむね下回る傾向にあったが,平成8年以降,窃盗を除く一般刑法犯を常に上回り,ここ2年間の対前年増加率は,12年は52.6%,13年は40.0%となっている。
 このように,平成8年からの窃盗を除く一般刑法犯の罪種別増加の内実は,暴力的9罪種の増加であるといえる。
 次に,暴力的9罪種の認知件数,検挙件数,検挙人員及び検挙率を見ると,その推移は,5-1-2図のとおりである。暴力的9罪種全体の検挙率は,昭和49年から高率を維持してきたものが,平成元年を境にして60%を割り,以後低落の一途をたどり,13年には20%台まで低下した。12年,13年には検挙件数,検挙人員とも前年を上回っているが,それでも検挙率が急落しているのは,検挙が認知件数の急増に追いつかないことを示している。

5-1-2図 暴力的9罪種の認知件数・検挙件数・検挙人員及び検挙率の推移