3 暴力的9罪種及び殺人に対する立法動向 暴力的9罪種のうち,強盗,強姦及び強制わいせつについては,刑法において,死傷の結果を生じさせた場合には,刑を加重して処罰する旨定められている(なお,強盗及び住居侵入については「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」(昭和5年法律第9号)において,暴行,傷害,脅迫及び器物損壊については「暴力行為等処罰ニ関スル法律」(大正15年法律第60号)において,危険な態様や常習的犯行について,刑の加重処罰が定められている。)。 近時の立法を見ると,暴力的9罪種に殺人を加えた10罪種に関し,[1]組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年8月18日成立,12年2月施行),[2]ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年5月18日成立,同年11月施行),[3]児童虐待の防止等に関する法律(平成12年5月18日成立,同年11月施行)[4]配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年4月6日成立,同年10月施行)が制定された。これらの新規立法においては,組織的な殺人のような危険な犯行態様,異性へのつきまといのような新たな犯行態様に対し,刑の加重処罰規定,犯罪収益の没収,警察本部長による警告,都道府県公安委員会による禁止命令等,地方裁判所による保護命令が定められ,危険な態様や新たな態様による犯罪抑止を目的とする対策立法が次々となされているところである(児童虐待の防止等に関する法律には,直接の刑事罰規定はないが,単に親権者であることをもって刑が免責されるものではないことが明記された。)。
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