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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/1 

第3節 外国人犯罪者の処遇

1 検察庁における処理状況

 IV-66図は,最近10年間の検察庁における外国人被疑事件の新規受理人員(交通関係業過及び道交違反を除く。以下,本項において同じ。)の推移を見たものである。新規受理人員は,平成6年まで毎年2割前後の割合で増加し,7年にやや減少した後も11年まで微増を続けた。12年は2万1,318人で,前年より262人(1.2%)減少したものの,依然として高水準を示しており,3年(1万919人)を100とする指数では195となっている。

IV-66図 外国人被疑事件の新規受理人員の推移

 平成12年における外国人被疑事件の新規受理人員のうち,来日外国人(我が国にいる外国人のうち,永住者・特別永住者,在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の者をいう。以下,本項において同じ。)被疑事件の新規受理人員は1万6,074人で,検察庁新規受理人員総数の4.2%,外国人被疑事件新規受理人員の75.4%を占めている。
 IV-37表は,最近3年間における来日外国人被疑事件の罪名別新規受理人員を示したものである。

IV-37表 来日外国人被疑事件の罪名別検察庁新規受理人員

 平成12年における来日外国人被疑事件の新規受理人員を罪名別に見ると,入管法違反が7,113人(44.3%)と最も多く,次いで,窃盗3,559人(22.1%),覚せい剤取締法違反737人(4.6%),傷害714人(4.4%),強盗334人(2.1%)等となっている。これを,最近3年間で見ると,入管法違反及び覚せい剤取締法違反の占める比率は年々低下しているのに対して,窃盗,傷害等の占める比率は,年々上昇している。
 また,平成12年における各罪名別の検察庁新規受理人員総数中に占める来日外国人の比率を見ると,刑法犯では,文書偽造(7.8%),有価証券偽造(6.8%),強盗(6.5%)等において,また,特別法犯では,外登法違反(91.1%),入管法違反(90.9%),あへん法違反(74.5%),麻薬取締法違反(34.9%)等において,比率が高くなっている。
 IV-38表は,最近3年間における来日外国人被疑事件の国籍等別新規受理人員を見たものである。3年間を通じて,最も多いのは中国であり,かつ,総数に占める中国の構成比は上昇している。平成12年を見ると,中国(6,770人,42.1%)に次いで,韓国・朝鮮(2,545人,15.8%),フィリピン(987人,6.1%),ブラジル(890人,5.5%),タイ(688人,4.3%)等の順となっており,アジア地域の国籍等の者が84.5%と大部分を占めている。

IV-38表 来日外国人被疑事件の国籍等別検察庁新規受理人員

 IV-67図は,最近10年間の検察庁における外国人被疑事件の終局処理人員(交通関係業過及び道交違反を除く。以下,本項において同じ。)の推移を見たものである(巻末資料IV-22参照)。起訴人員は,平成6年を境にその動きがやや鈍っているものの,一貫して増加の傾向を示している。

IV-67図 外国人被疑事件の検察庁終局処理人員の推移

 IV-39表は,最近3年間の検察庁における来日外国人被疑事件の罪名別終局処理人員を示したものである。

IV-39表 来日外国人被疑事件の罪名別検察庁終局処理人員

 平成12年における来日外国人被疑事件の終局処理人員は1万6,022人であり,検察庁終局処理人員総数の4.2%,外国人被疑事件終局処理人員の75.4%を占めている。
 罪名別に見ると,刑法犯では,窃盗(同罪の外国人被疑事件の全終局処理人員に占める比率は69.6%)が最も多く,次いで,傷害(暴行,凶器準備集合及び同結集を含む。同48.6%),文書偽造(同78.3%),強盗(同78.7%)の順となっており,特別法犯では,入管法違反(同96.4%)が大半を占め,以下,覚せい剤取締法違反(同55.0%),大麻取締法違反(同90.3%),売春防止法違反(同78.9%)等となっている。
 IV-40表は,平成12年における来日外国人被疑事件の検察庁終局処理状況を,検察庁で処理された全事件の処理状況との対比で見たものである。

IV-40表 来日外国人被疑事件の検察庁終局処理状況及び起訴・起訴猶予率

 起訴率について,来日外国人と全終局処理人員を比べると,刑法犯では,有価証券偽造(30.3ポイント),文書偽造(24.6ポイント),殺人(20.6ポイント)及び窃盗(20.3ポイント)等で,特別法犯では,あへん法違反(12.2ポイント),大麻取締法違反(7.7ポイント),麻薬取締法違反(5.6ポイント)等で,来日外国人に対する起訴率が高くなっている。
 また,起訴猶予率について,同様に比べると,刑法犯では,横領(9.8ポイント),強姦(7.2ポイント),傷害(5.8ポイント)等で,特別法犯では,売春防止法違反(32.2ポイント),銃刀法違反(3.5ポイント)等で,来日外国人に対する起訴猶予率が高くなっている。