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1 覚せい剤事犯 IV-44図は,覚せい剤取締法が制定された昭和26年以降の覚せい剤事犯の送致人員の推移を見たものである。覚せい剤事犯送致人員の推移には,二つの波が見られる。一つは,29年の5万5,664人をピークとするもので,終戦後の混乱した社会情勢を背景に覚せい剤の乱用が急速に広まった時期である。29年及び30年の2回にわたる罰則の強化,徹底した検挙,覚せい剤の害悪についての全国的なキャンペーンの実施等により,覚せい剤事犯送致人員は,その後急激に減少した。しかしながら,45年以降,再び増加傾向に転じ,59年には送致人員は2万4,372人となり,第2のピークを迎えた。その後は,63年までは2万人台で推移していたが,平成元年に2万人を割り,6年の1万4,896人まで減少した。7年以降はおおむね増加傾向を示しており,12年には1万9,156人(前年比3.6%増)となっている。
IV-44図 覚せい剤事犯送致人員の推移 IV-45図は,昭和46年以降の30年間について,覚せい剤事犯の年齢層別送致人員の人口10万人当たりの比率の推移を見たものである。55年までは,30歳代の比率が最も高かったが,その後は一貫して,20歳代が最も高くなっている。また,平成7年から9年にかけて,20歳未満及び20歳代の青少年の比率が上昇し,その後も比較的高い水準にある。このことは,後記の覚せい剤事犯の再犯者率の高さ(本章第3節4参照)を考えると,今後同事犯の増加のおそれがあることを示していると考えられる。IV-45図 覚せい剤事犯の年齢層別送致人員人口比の推移 IV-27表は,昭和56年以降の20年間について,覚せい剤に起因する犯罪,いわゆる二次犯罪による検挙人員を見たものである。検挙人員は,56年の687人から急速に減少し,60年に200人を割って以降,平成元年,5年及び9年を除き,100人台で推移している。IV-27表 罪名別覚せい剤に起因する犯罪による検挙人員 検挙人員を罪名別構成比の推移で見ると,窃盗は低下傾向にあり,住居侵入及び器物損壊が上昇傾向にあるほか,実数が小さく,年次によるばらつきがあるものの,殺人が10年以降上昇している。二次犯罪の検挙人員自体は減少しているが,殺人,強盗については,総数の減少と比較し,それほど減少していないことに注目する必要がある。 |