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本節においては,我が国の犯罪動向の特徴を見るために,入手し得た公的資料の範囲内で諸外国の犯罪の動向との対比について概観する。
比較対象国として選定したのは,アメリカ,連合王国(ただし,イングランド及びウェールズに限る。以下,本節においては「イギリス」という。),ドイツ及びフランスの4か国である。なお,ドイツについては,旧ドイツ民主共和国の編入に伴い,1991年からは旧ドイツ民主共和国に相当する地域で発生した犯罪を含んでいる。 我が国とこれら4か国における,主要な犯罪(その罪名については,巻末資料IV-14注2参照),殺人及び窃盗について,それぞれ認知件数,発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率をいう。以下,本節において同じ。)及び検挙率の動向を対比する。 言うまでもなく,特定の犯罪の認知件数等のみによって犯罪動向を即断することは適当ではない。また,我が国とこれら各国との間では,犯罪とされるものの範囲や犯罪構成要件(ある行為が当該犯罪に該当すると判断される要素や条件)を異にするし,さらには,統計の取り方も同一ではないため,正確な比較や厳密な検討は困難である。しかし,我が国と各国との統計数値を比較して,各国の犯罪動向を概括的に把握することは,我が国の犯罪動向を国際的な視点から分析する上で有益であると考える。 |