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 平成13年版 犯罪白書 第2編/第6章/第2節/2 

2 我が国における調査結果

 我が国における本調査対象者のうち,個人及び世帯を単位とした犯罪被害について回答が得られた者は2,211人で,その内訳は,男1,073人(48.5%),女1,138人(51.5%)で,回答率は73.7%であった。

(1) 対象罪種の分類

 本調査では,犯罪被害を「世帯犯罪被害」及び「個人犯罪被害」に分けて調査している。
 「世帯犯罪被害」は,世帯単位での犯罪被害の有無を調査するもので,「あなた又はあなたの世帯で…の犯罪被害に遭いましたか。」という聞き方をしており,調査対象罪種は,自動車盗,車上盗,自動車損壊,バイク盗,自転車盗,不法侵入及び不法侵入未遂である。
 他方,「個人犯罪被害」は,個人単位での犯罪被害の有無を調査するもので,「あなた自身が…の犯罪に遭いましたか。」という聞き方をしており,調査対象罪種は,強盗,窃盗,性的暴行及び暴行・脅迫である。

(2) 「世帯犯罪被害」の実情

ア 自動車盗
 自動車盗は,過去5年間に自家用の乗用車,バン,トラック(以下,本節において「自家用車」という。)を保有していた世帯を調査の対象としている。過去5年間に自家用車を保有していた世帯は1,907世帯であり,そのうち,過去5年間に自動車盗の被害に遭ったことがあるのは0.7%(13世帯),1999年に被害に遭ったのは0.2%(3世帯)であった。
イ 車上盗
 本調査では,自家用車の中に置いておいてあった物又は自家用車の部品を盗まれる被害を車上盗の被害とし,過去5年間に自家用車を保有していた世帯を調査の対象としている。過去5年間に車上盗の被害に遭ったことがあるのは5.7%(108世帯),1999年に被害に遭ったのは1.6%(31世帯)であった。
ウ 自動車損壊
 本調査では,自家用車に対する破損を受けたこと(交通事故によるものを除く。)を自動車損壊の被害とし,過去5年間に自家用車を保有していた世帯を調査の対象としている。過去5年間に自動車損壊の被害に遭ったことがあるのは16.8%(321世帯),1999年に被害に遭ったのは4.8%(92世帯)であった。
エ バイク盗
 バイク盗は,過去5年間に原付自転車,スクーター,オートバイ(以下,本節において「バイク」という。)を保有していた世帯を調査の対象としている。過去5年間にバイクを保有していた世帯は712世帯であり,そのうち過去5年間にバイク盗の被害に遭ったことがあるのは12.4%(88世帯),1999年に被害に遭ったのは2.8%(20世帯)であった。
オ 自転車盗
 自転車盗は,過去5年間に自転車を保有していた世帯を調査の対象としている。過去5年間に自転車を保有していた世帯は1,788世帯であり,そのうち過去5年間に自転車盗の被害に遭ったことがあるのは27.3%(488世帯),1999年に被害に遭ったのは7.9%(141世帯)であった。
カ 不法侵入
 本調査では,「誰かがあなたの家又はアパートに許可なく入り込み,何かを盗んだ,又は盗もうとしたことがありましたか。」と質問し,これを不法侵入の被害としている。過去5年間に不法侵入の被害に遭ったことがあるのは4.1%(90世帯),1999年に被害に遭ったのは1.2%(27世帯)であった。
 過去5年間に不法侵入の被害に遭ったことがある世帯に対して,直近の被害について質問した結果,実際に何かを盗まれたのは68.9%(62世帯)であり,それ以外に,家財を壊されるなど,財産上の被害があったのは16.7%(15世帯)であった。
キ 不法侵入未遂
 本調査では,前記の不法侵入とは別に,「誰かがあなたの家又はアパートの中に侵入しようとした形跡がありましたか。例えば,鍵やドア,窓が壊されていたり,鍵の周りに傷跡などがありましたか。」と質問し,これを不法侵入未遂の被害としている。過去5年間に不法侵入未遂の被害に遭ったことがあるのは2.6%(58世帯),1999年に被害に遭ったのは0.8%(17世帯)であった。

(3) 「個人犯罪被害」の実情

ア 強盗
 本調査では,「暴力又は脅迫により何かを盗まれたことがありますか。また,誰かに暴力や脅迫によって何かを奪われそうになったことがありますか。」と質問し,これに該当する体験を強盗の被害として扱っている。過去5年間に強盗の被害に遭ったことがあるのは0.6%(13人),1999年に被害に遭ったのは0.0%(1人)であった。
 過去5年間に強盗の被害に遭ったことがある者に対して,直近の被害について質問した結果,この事件で,実際に何かを取られたものは53.8%(7人)であり,「犯人」との関係については,「犯人」は顔も名前も知らない相手だったとするものが最も多く,38.5%(5人)であった。
イ 窃盗
 本調査では,「窃盗は,暴力を伴う強盗とは異なり,スリ,又は財布,衣類,宝石,スポーツ用具を盗むことなど様々です。これらは職場,学校,飲食店,公共の交通機関,海岸,町中などで起こり得ます。すでにお聞きした家での被害を除いて,過去5年間にあなた自身がこれらの盗難の被害者となったことがありますか。」と質問し,これに該当する体験を窃盗の被害として扱っており,自動車盗等,前記で世帯犯罪被害として取り上げたものを除く,不法侵入を伴わないものを窃盗の被害として定義している。過去5年間に窃盗の被害に遭ったことがあるのは2.7%(60人),1999年に被害に遭ったのは0.5%(10人)であった。
ウ 性的暴行
 本調査では,「人は,しばしば性的な目的のために他人を掴んだり,触ったり,暴行を加えたりすることがあり,それが実に許し難い場合があります。これは家又はその他の場所,飲食店,町中,学校,公共の交通機関,映画館,海岸,職場などで起こり得ます。過去5年間に,あなたはこれらの行為による被害を受けたことがありますか。ゆっくり考えてください。家庭内の性的暴行を含めてお考えください。」と質問しており,いわゆる痴漢やセクハラを含む,性的な暴力を受けた体験を,性的暴行の被害として扱っている。なお,本項目では,質問対象を女性のみとしている。過去5年間に性的暴行の被害に遭ったことがあるのは,女性回答者の2.7%(31人),1999年に被害に遭ったのは1.0%(11人)であった。
 次に,過去5年間に性的暴行の被害に遭ったことがある者に対し,直近の被害について質問した結果,「犯人」との関係について,「犯人」が,顔又は名前を知っている相手であったものは22.6%(7人)であった。
エ 暴行・脅迫
 本調査では,「家又は飲食店,町中,学校,公共の交通機関,海岸,あなたの職場などで,本当に恐怖を感じるような暴行や脅迫を受けたことがありますか。家庭内暴力を含めてください。」と質問しており,男性に対する性的暴力の被害も含め,これに該当する体験を暴行・脅迫の被害として扱っている。過去5年間に暴行・脅迫の被害に遭ったことがあるのは2.1%(47人),1999年に被害に遭ったのは0.4%(9人)であった。

(4) 罪種別被害率

 II-28図は,「世帯犯罪被害」及び「個人犯罪被害」のそれぞれについて,過去5年間及び1999年1年間に,それぞれ1回以上犯罪被害に遭った比率(以下,本節においては「被害率」という。)を,罪種別に示したものである。

II-28図 罪種別過去5年間及び1999年の被害率

(5) 罪種別申告率

 II-29図は,「世帯犯罪被害」及び「個人犯罪被害」のそれぞれについて,過去5年間にこれらの犯罪被害に遭った世帯及び個人につき,直近の被害を警察に届け出た比率(以下,本節において「申告率」という。)を,罪種別に示したものである。

II-29図 罪種別申告率