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 平成13年版 犯罪白書 第1編/第1章/第5節/2 

2 コンピュータ関連犯罪対策

 電気通信回線に接続されているネットワーク・コンピュータの中には,パスワード等によるアクセス制御機能を設けて,そのアクセスを制御し,その利用を特定の者に制限しているものがある。このようなアクセス制御されたコンピュータに対して無権限で不正にアクセスする事件が飛躍的に増加したことから,これらの不正アクセス行為を禁止・処罰することなどを目的として,平成11年8月13日,不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)が制定され,12年2月に施行された。同年の同法律違反による検挙件数は67件,検挙人員は37人(うち少年6人)であり,不正アクセス行為の態様は,他人のパスワードを無断使用したものが61件,セキュリティ・ホールの攻撃によるものが1件,不正アクセス行為の助長行為が5件である(警察庁生活安全局の資料による。)。
 なお,インターネット等を利用して,性的な行為を表す場面等の映像を見せる営業を規制するため,平成10年4月,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が一部改正され,映像送信型性風俗特殊営業の規制及びその違反行為の処罰に関する規定の新設等が行われた。同規定は11年4月に施行され,同規定違反による検挙は,12年において2件が検挙されている(警察庁生活安全局の資料による。)。
 このほか,平成11年5月18日,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)が制定され,同年11月に施行された。同法には,インターネットを利用して不特定又は多数の者に対し児童ポルノを閲覧させる行為を含む児童ポルノの公然陳列に関する処罰規定が置かれており,同法違反のうちインターネットを利用したものによる検挙件数は,施行後同年内におけるものが9件,12年におけるものが121件である(警察庁生活安全局の資料による。)。
 国際的にも,我が国を含む主要8か国(G8)では,いわゆるハイテク犯罪に取り組むべく,1995年のハリファックス・サミットの議長声明を受けて国際組織犯罪対策に関する上級専門家会合を設置し,同会合において,1996年のリヨン・サミットに国際組織犯罪対策に関する「40の勧告」を提出するなどして,ハイテク犯罪捜査のあり方,捜査協力,ハイテク犯罪における国境を越えたデータに対するアクセスのあり方等について,検討を続けている。
 また,ハイテク犯罪対策では,産業界との協力が不可欠・重要であることについて,1998年のバーミンガム・サミットで言及されたのに続き,1999年に開かれたG8司法・内務閣僚級会合においても改めて強調されるところとなり,これを受けて,2000年には,G8各国の政府と産業界とのハイレベル合同会合及び合同ワークショップ会合が開催された。さらに,2001年5月には,東京で第2回ハイレベル会合が開催され,ハイテク犯罪は深刻な世界的脅威であり,その脅威の分析と予防に関して官民の協力を推進することなどが確認された。