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1 コンピュータ関連犯罪の動向と検察庁及び裁判所における処理状況 コンピュータ関連犯罪とは,コンピュータが関係する犯罪を示す非常に広い概念であるが,本節では,近時ハイテク犯罪と呼ばれようになった,コンピュータ技術や電気通信技術を悪用する犯罪のうち主なものを対象とする。
これらの犯罪は,大別すると,[1]コンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪(狭義のコンピュータ犯罪等)と,[2]コンピュータネットワークを利用した犯罪(ネットワーク利用犯罪),[3]不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)違反とに分けられる。 [1]に該当するのが,各種電磁的記録の不正作出・同供用罪,電子計算機損壊等業務妨害罪,電子計算機使用詐欺罪などであり,[2]に該当するのが,インターネットを利用した詐欺罪,児童ポルノ頒布等罪(児童買春・児童ポルノ禁止法違反)などである。 I-14表は,電磁的記録不正作出罪等のコンピュータ関連犯罪による最近10年間における検察庁新規受理人員の推移を見たものである。各罪ごとに増減等のばらつきはあるが,全体として,ここ10年間で,この種の犯罪の受理人員が急速に増加していることが見てとれる。これらの犯罪は,一人で何件も犯罪を敢行する者が多いため,検挙件数となると増加傾向が顕著であり,ハイテク犯罪の総検挙数は,平成6年が63件,8年が176件,10年が415件,12年が559件となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。 I-14表 コンピュータ関連犯罪の検察庁新規受理人員 I-15表は,平成12年におけるコンピュータ関連犯罪の検察庁終局処理人員を処理区分別に見たものである。罪名別に見た起訴率は,公・私電磁的記録毀棄を除くと,いずれも50%を超えており,公・私電磁的記録毀棄を含む総数では,69.4%に達している。I-15表 コンピュータ関連犯罪の検察庁終局処理人員 I-16表は,平成11年の通常第一審におけるこれらコンピュータ関連犯罪の懲役の科刑状況を見たものである。電子計算機使用詐欺で懲役の言渡しを受けた者における執行猶予率は11年が42.9%,12年が64.7%となっている。I-16表 通常第一審におけるコンピュータ関連犯罪の懲役の科刑状況 |