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1 被害者と矯正処遇 (1) 受刑者 行刑施設における受刑者処遇の基調は,受刑者の改善更生及び社会復帰を図ることに置かれている。その一環として,被害者との関係改善に努力するよう個別的に助言指導がなされているほか,殺人等の生命身体犯・業過受刑者等について,これを集団に編成し,被害者及びその家族等に謝罪する意識やしょく罪意識をかん養するための指導を実施している施設もある。その指導は,犯罪の重大性の認識及び罪障感の覚せいを目標とし,例えば,謝罪の必要性,被害者に対してできることなどを課題として集団討議を行わせること,被害者遺族に関するVTRを視聴させることなどが行われている。また,受刑者の希望に応じて,被害者の命日に供養等の機会を与えている施設もある。
一方,刑務作業に従事した受刑者に対しては作業賞与金が支給されるが,被害者等に対する賠償の必要がある場合には,在監中であっても支給することができることとされており,被害者の了解が得られていると認められる場合には,被害者等への作業賞与金や領置金の送付を行わせているほか,謝罪の手紙の送付等について配慮している。 (2) 少年院在院者 少年院では,在院者の個別的な問題の改善に焦点を当てて,種々の教育が実施されているが,特に,非行にかかわる意識,態度及び行動面の問題に対する指導は,重要な生活指導の一つとして位置付けられ,問題行動指導として実施されている。この指導では,自らが行った過去の非行,学校内のいじめや犯罪被害者に関する新聞記事,交通遺児の作文集等を題材にした課題作文,面接指導,集団討議,役割交換書簡法等が行われているほか,内観,内省指導,読書指導等も行われている。
さらに,平成9年9月,非行の重大性等により,少年の問題性が極めて複雑・深刻であるため,その矯正と社会復帰を図る上で特別の処遇を必要とする者を対象とする処遇課程が新たに設置されたが,同課程においては,情操教育,小動物飼育,花き栽培等生命の尊さを認識させ,豊かな人間性を育てるための処遇内容を盛り込むとともに,非行の重大性を深く認識させ,罪障感の覚せいを図るための指導や被害者及びその家族等に謝罪する意識をかん養するための指導を徹底的かつ重点的に行うこととされている(第3編第2章第4節1参照)。 |