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 平成12年版 犯罪白書 第5編/第2章/第1節/1 

1 捜査及び事件処理

(1) 被害申告及び告訴

 被害者は,捜査機関に対して被害届を提出するなどして被害を申告することができるほか,検察官又は司法警察員に対して,犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求めて告訴をすることができる。
 被害届及び告訴は,いずれも捜査機関にとって捜査の端緒となるものであるが,強姦,強制わいせつ,名誉毀損,器物損壊等の親告罪については,告訴が訴訟条件とされており,告訴がなされない場合又は告訴がなされた後に取り消された場合は,公訴を提起することができない。
 親告罪の告訴については,犯人を知った日から6か月の期間を経過した時は,これをすることができないとされているが,強姦罪や強制わいせつ罪等の性犯罪については,犯罪によって被った精神的ショックのため短期間では告訴の意思決定が困難な場合があることなどから,前記「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」により,これらの犯罪については告訴期間の制限は撤廃することとされた。なお,この改正規定は平成12年6月に施行された。
 検察官は,告訴がなされた事件について処分したときは,速やかに告訴人に通知しなければならず(本節6(1)参照),また,不起訴となった場合の救済制度も設けられている(本節2参照)。

(2) 事件の捜査処理

 捜査機関が,被害者から,参考人として被害状況等について事情聴取等を行う際には,名誉等を害しないよう注意するほか,その立場・心情に十分配慮するよう努めている。また,事情聴取等の際には,被害感情についても併せて聴取し,供述調書に録取することが多い。検察官は,起訴便宜主義の下で訴追について裁量権を有しているが,被害感情は,検察官が訴追の要否を判断する上での考慮要素となり得る。