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3 上訴審 平成10年に言い渡された第一審判決に対する控訴率を見ると,地方裁判所の判決に対しては,10.2%,簡易裁判所の判決に対しては,5.1%となっている。10年の高等裁判所の控訴受理人員は5,670人で,これを控訴申立当事者別に見ると,被告人側のみの申立てによるものは5,557人(98.0%),検察官のみの申立てによるものは89人(1.6%),双方からの申立てによるものは23人(0.4%),最高裁からの破棄差戻し1人(0.0%)である(司法統計年報による。)。
II-7表は,平成10年に高等裁判所が控訴審として処理した結果を,罪名別に見たものである。終局処理人員総数(5,670人)に占める比率は,控訴棄却が69.1%,取下げが16.7%,破棄自判が13.7%である。これを罪名別に見ると,取下げ率は,覚せい剤取締法違反(23.6%),窃盗(23.0%),入管法違反(17.9%),傷害・暴行・凶器準備集合(16.9%)が高く,また,破棄自判率は,公職選挙法違反(66.7%),業過(33.6%),強姦・強制わいせつ(29.3%),詐欺(23.1%)が高い。破棄理由を見ると,破棄人員総数786人のうち169人(21.5%)は量刑不当によるものであり,自判の結果,裁判が覆されて無罪となった者は10人で,終局処理人員総数の0.2%を占めている。 II-7表 罪名別控訴審終局処理人員 なお,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した事件のうち,平成10年に21人の被告人に対し控訴審の裁判が行われているが,そのうち20人(95.2%)については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。平成10年に言い渡された控訴審の判決に対する上告率を見ると,全体では,39.2%で,第一審判決に対する上訴率に比べると高くなっている。10年の最高裁判所の上告受理人員は1,643人である。また,10年に最高裁判所が上告審として終局処理した人員は1,490人で,その内訳は,上告取下げ376人(25.2%),上告棄却1,103人(74.0%),破棄差戻し・移送1人(0.1%)となっている(司法統計年報による。)。 |