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5 犯罪被害調査 アメリカ商務省統計局が,全国からデータを収集し,全米犯罪調査(Nat10nalCrimeSurvey)を開始したのは,1972年である。1993年からは,性犯罪の被害実態のより正確な把握を目的として実施方法の改善が行われ,また,これと相前後して,全米犯罪被害調査(NationaICrimeVictimization Survey)と名称が改められているので,同年以降の調査結果を取り上げる。
V-41図は,個人に対する犯罪の被害率(12歳以上の人口1,000人当たりの被害者数の比率をいう。)の推移を,強姦(rape)・強制わいせつ(sex一 ual assault),強盗,加重暴行・脅迫(aggravated assault),単純暴行・脅迫(simpleassault)及びすり・ひったくりの別に,V-42図は,世帯財産に対する犯罪の被害率(1,000世帯当たりの被害世帯数の比率をいう。)の推移を,不法行為目的侵入(household burglary),自動車盗及び窃盗(theft,すり・ひったくりを除く。)の別に,1993年から1997年について見たものである。 1997年の被害率は1993年と比べて,強姦は43.8ポイント,強制わいせつは37.5ポイント,強盗及び加重暴行・脅迫は28.3ポイント,単純暴行・脅迫は15.3ポイント,すり・ひったくりは30.4ポイント,不法行為目的侵入は23.4ポイント,自動車盗は27.4ポイント,窃盗は21.4ポイント,いずれも低下している。なお,この傾向を,法執行機関の認知した犯罪の発生率と比較するため,統一犯罪報告書(Uniform Crime Report)による指標犯罪(CrimeIndex offenses)の発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率をいう。)の推移を見ると,必ずしも各罪種の分類方法は同一ではないが,1997年は1993年と比べ,強姦(forcible rape)は11.6ポイント,強盗は27.2ポイント,加重暴行(aggravated assault)は13.2ポイント,不法行為目的侵入(bur一glary)は16.3ポイント,自動車盗は16.4ポイント,窃盗(1arceny-theft,すり・ひったくりを含む。)は4.8ポイントの低下となっており,いずれも被害率の低下の方が大きくなっている。 また,1997年の被害申告率(被害件数のうち被害申告がなされたものの件数の比率をいう。)は,個人に対する犯罪では,強盗が55.8%,加重暴行・脅迫が59.1%,単純暴行・脅迫が38.4%であるのに対し,強姦・強制わいせつは30.5%にすぎず,世帯財産に対する犯罪では,自動車盗が最も高く79.8%であり,次いで不法行為目的侵入51.8%,窃盗27.9%となっている。さらに,男女別及び人種別に強姦・強制わいせつ,強盗及び暴行・脅迫の被害申告率を見ると,女性の方が男性より,黒人の方が白人より,いずれも高くなっている。 V-41図 個人に対する犯罪の被害率の推移 V-42図 財産に対する犯罪の被害率の推移 |