前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成11年版 犯罪白書 第5編/第4章/第2節/4 

4 被害回復状況

 V-43表は,財産犯について,罪名別・被害額別の被害回復(被害還付額及び被害弁償額に保険等によって被害者が支払を受けた金額を加えたものをいう。)の状況を見たものである。
 窃盗においては,被害額1万円以下では80%を超える事案において被害全額が回復されており,被害額が大きくなるに従って被害全額が回復されている事案の占める比率は低下するものの,全体でも70%を超えており,被害が全く回復されていない事案は16%にとどまっている。
 横領においては,被害額が10万円以下の事案では,被害全額回復の比率が極めて高い。他方,被害額が10万円を超える事案では,被害全額回復の比率が50%以下と低くなっており,また,全く被害回復なしの占める比率は,被害額100万円を超える事案で高く,被害額1,000万円を超える事案では50%を超えている。
 一方,強盗,詐欺,恐喝及び毀棄ては,全般的に被害回復率(被害回復額の被害額に対する比率をいう。)が低く,全く被害回復なしがおおむね半数を占めている。

V-43表 財産犯の罪名別・被害額別被害回復状況

 財産犯全体につき,被害額と被害回復状況を見たのが,V-6図である。被害が少額の事案では,被害全額が回復されている事案の占める比率が高く,被害額が大きくなるに従い,その比率が低くなっているが,被害額500万円を超え1,000万円以下の事案でも,30%を超える事案で被害が全額回復されている。他方,被害が全く回復されていない事案の占める比率は,被害額10万円以下の事案では低くなっているが,10万円を超え1,000万円以下の事案では30%前後であり,1,000万円を超える事案では60%近くに達している。

V-6図 財産犯の被害額別被害回復状況