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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第4章/第2節/3 

3 被害弁償状況

 V-5図は,財産犯全体について,被害額別の被害弁償(示談金,見舞金,謝罪金その他名目を問わず,被害還付以外の方法により,被害者に財産的利益を格させることをいう。)の状況を示したものであり,V-42表は,これを罪名別に見たものである。

V-5図 財産犯の被害額別被害弁償状況

V-42表 財産犯の罪名別・被害額別被害弁償状況

 財産犯全体について見ると,全額被害弁償がなされている事案と全く被害弁償がなされていない事案の占める比率が高く,一部被害弁償がなされている事案の比率は低いが,被害額500万円を超え1,000万円以下及び1,000万円を超えるものでは,被害弁償率(被害額から被害還付額を控除した金額に対する被害弁償額の比率をいう。)50%以下の事案の占める比率が約20%となっている。
 さらに,これを罪名別に見ると,強盗で,全く被害弁償なしの比率が90%近くに上り,全額被害弁償の比率が8%にとどまっているほかは,いずれの罪名でも,全く被害弁償なしがおおむね50%台から60%台を占める一方,全額被害弁償の比率が20%台から30%台となっている。また,全額被害弁償がなされている事案の比率は,横領を除き,いずれの罪名においても,被害額が多額のもので低くなっているが,全く被害弁償がなされていない事案の比率は,被害額の多寡にかかわらず比較的高くなっており,被害額1万円以下でも,全く被害弁償なしが,いずれも50%を超えている。