前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成11年版 犯罪白書 第5編/第2章/第2節/3 

3 公  判

 被害者が証人として,被告人の面前においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認められるときや,特定の傍聴人の面前で充分な供述ができないと認められるときは,被告人や特定の傍聴人を退廷させることができる。また,裁判所が裁判官の全員一致で,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決定した場合には,対審を非公開とすることができる。さらに,証人の重要性,年齢,職業,健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮し,裁判所外での尋問や公判期日外の証人尋問を行うことができるとされている。
 このほか,証人尋問における証人保護のため,証人の証明力を争うために必要な事項の尋問であっても,みだりに証人の名誉を害する事項に及んではならず,また,威嚇的又は侮辱的な質問をしてはならないとされている。
 なお,平成11年8月に公布された刑事訴訟法の一部を改正する法律(第4編第1章第3節参照)により,[1]裁判長が一定の場合に証人等の住居等が特 定される事項に関する尋問を制限することができること,[2]証人等を尋問する場合に証拠書類等を閲覧する機会を与えるに際しては,検察官又は弁護人は相手方に対し,証人等の住居等が特定される事項が被告人を含む関係者に知られないようにすること,その他これらの者の安全が脅やかされることかないよう配慮を求めることができること等を内容とする規定が設けられた。
 また,被害感情等が記載された供述調書が証拠として公判廷に提出されることも多く,さらに,被害者が証人として証言を求められ,被害感情について述べる機会を与えられることもある。