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 平成11年版 犯罪白書 第4編/第7章/第4節/1 

第4節 銃器犯罪

1 銃器犯罪の動向

 (1)発生状況
 警察庁生活安全局の資料によれば,平成10年における銃器(けん銃,小銃,機関銃,砲,猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃をいう。以下同じ。)発砲事件による死者数は,IV-23表のとおり,前年を3人下回る19人となっている。死者数に占める暴力団の構成員及び準構成員(以下,本節において「暴力団構成員等」という。)以外の一般人の被害者(巻き添えによるものを含む。)の比率は,前年の40.9%(9人)から42.1%(8人)に上昇している。また,10年における銃器の発砲回数は,前年の148回を6回(4.1%)上回る154回となっており,銃器犯罪の深刻化がうかがわれる。

IV-23表 銃器発砲事件における死者数

 (2)検挙状況
 IV-35図は,最近5年間における,銃器使用犯罪の検挙件数及びそのうちでけん銃が使用されたものの件数を,暴力団構成員等によるものとそれ以外の一般人によるものとに区別して見たものである。銃器使用犯罪の検挙件数は平成7年以降減少していたが,10年は,前年を14件(12.6%)上回る125件となっている。検挙件数に占める一般人によるものの比率は,近年上昇傾向にあり,10年には検挙件数の33.6%を占めている。

IV-35図 銃器使用犯罪検挙件数の推移

 IV-36図は,最近5年間における,けん銃に係る銃刀法違反の態様別送致人員の推移を見たものである。けん銃に係る銃刀法違反の送致人員は,平成7年,8年と900人台であったが,9年は745人,10年は674人(前年比9.5%減)となっている。また,態様別では,けん銃の加重所持は,10年には321人(同14.2%減)となっている。なお,7年5月に,銃砲刀剣類所持等取締法(以下,本節において「銃刀法」という。)の一部改正により新設された発射罪の送致人員は,10年には34人(同30.8%増)となっている(巻末資料IV-12参照)。

IV-36図 けん銃に係る銃刀法違反の態様別送致人員の推移

 (3)けん銃の押収状況
 IV-37図は,最近5年間における押収けん銃丁数を,暴力団構成員等から押収したものと,それ以外の一般人から押収したものとに分けて見たものである。けん銃の押収丁数は,平成7年までは増加を続けていたが,8年以降は,暴力団構成員等からの押収丁数が大幅に減少している。
 平成10年に押収された真正けん銃について,これを製造国別に見ると,アメリカが270丁(29.1%)で最も多く,次いで中国100丁(10.8%),フィリピン75丁(8.1%)の順となっている。また,10年にけん銃の密輸入事件で検挙された人員は,前年より3人減の11人,押収されたけん銃は,29丁減の9丁となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。

IV-37図 けん銃押収丁数の推移