2 コンピュータ関連犯罪対策 近年,我が国の経済・社会の諸分野において国際化・情報化が進展し,コンピュータ・ネットワークが社会の基盤としての役割を果たすようになっている。このような状況を踏まえ,平成11年8月,電気通信回線に接続しているコンピュータのうち,アクセス制御機能によりその利用を制限されているものに,不正にアクセスする行為を禁止・処罰すること等を目的として,不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)が公布(一部を除き12年2月施行)された。 なお,インターネット等を利用して,性的な行為を表す場面等の映像を見せる営業を規制するため,平成10年4月,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正(一部を除き11年4月施行)により,映像送信型性風俗特殊営業の規制及びその違反行為の処罰に関する規定の新設等が行われた。 このほか,平成11年5月,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が制定されて,児童ポルノの公然陳列等に関する処罰規定が設けられ,これにより,インターネットを利用して不特定又は多数の者に対し児童ポルノを閲覧させる行為等について規制し得ることとなった。 国際的な取組としては,1997年12月に開かれた主要国司法・内務閣僚級会合において,電気通信及びコンピュータ・システム濫用行為の適切な犯罪化や,いわゆるハイテク犯罪捜査を促進するための法制度の検討等を内容とする「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」が表明され,さらに,1998年のバーミンガム・サミットにおいて,同計画を実施することについて意見の一致をみた。 また,1995年のハリファックス・サミットの議長声明を受けて国際組織犯罪対策に関する上級専門家会合が設置された。同会合では,1996年のリヨン・サミットにおいて国際組織犯罪対策に関する「40の勧告」を提出し,同サミットでこれが支持された。その後,同勧告のうち,現代技術を濫用する犯罪への対処についての勧告を推進するため,ハイテク犯罪サブグループが設けられ,国境を越えて敢行されるハイテク犯罪の証拠となるデータの収集に関する国際協力の在り方等について,検討が行われている。
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