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 平成11年版 犯罪白書 第3編/第2章/第4節/3 

3 新収容者の特質

 (1)入院時の年齢
 平成元年以降の新収容者の年齢層別構成比の推移を見たのが,III-26図である。年長少年が最も高い比率を占めているが,近年は,中間少年の比率が上昇し,両者の比率は近接している。

III-26図 少年院新収容者の年齢層別構成比の推移

 平成10年の新収容者について,入院時の年齢を男女別に見ると,男子は17歳(23.2%)が最も多く,次いで,18歳(22.3%),19歳(21.2%),16歳(18.8%)の順となっており,女子は17歳(21.0%)が最も多く,次いで,16歳(20.6%),18歳(17.5%),19歳(16.8%)の順となっている。
 (2)外国人少年
 平成10年の新収容者中,外国人で日本人と異なる処遇を必要とする者として生活訓練課程(G2)の対象となった少年(以下「外国人少年」という。)の数は27名で,全員男子である。年齢別に見ると,最も多いのは19歳(12人)であり,次いで16歳(6人),15歳及び18歳(各3人)の順となっており,また,非行名別に見ると,窃盗が9割近くを占めている(矯正統計年報による。)。
 外国人少年については,男子は久里浜少年院,女子は榛名女子学園にそれぞれ収容し,必要に応じて日本語学習指導を行うほか,問題行動指導や,帰住問題を含めた進路指導等を行っている。
 (3)非行名
 平成元年以降の新収容者の非行名別構成比を見ると,III-27図のとおりである。窃盗の比率は,いずれの年次においても最も高いものの,低下傾向にあり,傷害・暴行,強盗及び恐喝の比率が高くなっている。

III-27図 少年院新収容者の非行名別構成比

 平成10年の新収容者について,非行名を男女別に見ると,男子は窃盗(33.9%)が最も多く,次いで傷害(13.8%),強盗(10.7%)の順である。
 また,女子は,覚せい剤取締法違反(30.5%)が最も多く,次いで虞犯(15.2%),窃盗(14.7%)の順である(巻末資料III-14参照)。
 (4)保護者
 平成元年以降の新収容者の保護者別構成比を見ると,III-28図のとおりであり,保護者が実父母である者の比率は,50%前後を占めている。
 平成10年の新収容者のうち,保護者が実父母である者の比率は51.4%(男子52.3%,女子43.6%)と半数以上であり,男子と比べ,女子の比率は低い。
 (5)薬物使用関係
 平成10年の新収容者のうち,非行時に薬物等を使用していた者の比率は,27.4%(男子25.1%,女子48.6%)である。さらに,その使用薬物の種類を男女別に見ると,男子では有機溶剤(18.2%),覚せい剤(6.1%)の順,女子では覚せい剤(33.1%),有機溶剤(14.9%)の順となっている(矯正統計年報による。)。

III-28図 少年院新収容者の保護者別構成比

 (6)不良集団関係
 平成10年の新収容者のうち,不良集団に関係のある者の比率は56.2%(男子57.6%,女子42.7%)である。その所属不良集団を見ると,男子は暴走族(27.6%),地域不良集団(23.6%),不良生徒・学生集団(3.4%)の順,女子は地域不良集団(24.2%),暴走族(9.1%),暴力組織関係者(5.7%)の順となっている(矯正統計年報による。)。
 (7)その他
 平成10年の新収容者のその他の特徴としては,次のとおりである(矯正統計年報による。)。
 [1] 共犯者がいる者は69.2%(男子70.4%,女子58.5%)であり,共犯者との関係については,遊び仲間の比率が最も高く,共犯者がいる者の57.0%(同56.7%,60.3%)を占めている。
 [2] 職業については,無職者が47.6%(男子46.4%,女子58.1%),学生・生徒が19.0%(同18.4%,25.1%)であり,職業の中では,男子は建築関係の技能工等(20.5%),女子は接客関係のサービス業(9.5%)の比率が高い。
 [3]教育程度については,中学卒業が43.4%(男子43.9%,女子38.5%)と最も高く,次いで,高校中退が33.5%(同33.6%,32.8%),中学在学が10.1%(同9.3%,17.3%),高校在学が8.4%(同8.5%,7.2%)の順となっている。