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 昭和38年版 犯罪白書 第四編/第一章/一/3 

3 麻薬犯罪の類型

 麻薬犯罪は,通常その行為の態様から,次の三つの類型に分けて考えられている。
第一の類型は,正規の麻薬取扱いの過程における麻薬取扱者の違反行為である。
第二の類型は,正規の手段によらない不正麻薬を流布ないし施用する行為である。
第三の類型は,麻薬原料の不正栽培行為である。
 この三つの類型のうちで,もっとも問題となるのは第二の類型であり,ことに最近は麻薬犯罪の大部分が,この第二の型に集中しているといっても過言ではない。
 以上の類型のほかに,麻薬犯罪者を,密輸密売などの手段によって麻薬を提供する者(密売者),これらの不正庶薬を使用する者(使用者)の二群に大別し,さらに自己も使用するとともに他へも提供する者(使用密売者)の群を加えて考察する場合もある。
 密売者,使用者,使用密売者は,素質,環境など,さまざまな点でかなり異質的であり,麻薬犯罪者の矯正処遇,更生補導などの対策をたてるためには,この分類は便利であり,アメリカにおいては,密輸密売従事者と使用者を別個の刑務所に集禁する試みもなされているほどである。
 以下の考察においては,主としてこの分類によることとする。