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 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第六章/四/2 

2 所在不明者

 対象者のなかには,保護観察所へ出頭しないまま,当初から所在不明の者もあれば,一応保護観察所へ出頭し,担当者との接触も始まった後に,所在不明になる者もある。いずれにせよ,所在不明の対象者は保護観察から離脱した者であり,再犯のおそれのある,危険な状態におかれているものといえる。
 最近五年間における所在不明者を保護観察種別に検討すると,II-111表に示すとおり,仮出獄者および保護観察付執行猶予者の所在不明率が高く,少年院仮退院者がこれにつぎ,保護観察処分少年はこれらに比べてかなり低率であり,いずれの種類においても,累年増加の傾向にあることがわかる。

II-111表 処分別所在不明状況累年比較(昭和32〜36年)

 保護観察付執行猶予者の場合は,保護観察当初より不出頭者が多いこと,届出のみによって自由に転居ができること,また保護観察期間が比較的長期にわたっているので,その間に居住条件等の変動が生じやすいこと等のため,所在不明率が高いものと思われるが,仮出獄者においては,出頭率もよく,しかも逐年出頭率が上昇しているのに,所在不明率が増大しているのは,次に述べる保識観察の停止決定による累積がおもな原因である。すなわち,仮出獄者が保護観察期間中,居住すべき住居に居住せず,所在不明となって保護観察を実施することができなくなったときは,保護観察所長の申請により,地方委員会は保護観察の停止の決定をすることができる(犯罪者予防更正法第四二条の二)。この保護観察停止決定によって,刑期は進行を停止し,時効の完成がないかぎり,当該保護観察は終結しない。その結果,保護観察停止事件は,しだいに累積することとなり,その数はII-112表の示すとおり,逐年増加している。今後これが対策については,所在発見のための全国的な調査網を設ける等なんらかの強力な措置を講ずる必要があると思われる。

II-112表 仮出獄者中の所在不明人員と率(昭和32〜36年)