前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第六章/二 

二 保護観察の実施状況

 保護観察ならびにその前段階である在監,在院者の環境調査調整をつかさどる機関は,保護観察所であるが,これらの業務を担当しているのは,おもに保護観察官である。この保護観察官は全国の保護観察所に六五九人いて,保護観察活動のほか,地域社会における犯罪予防活動や,その他これらに関係のある業務にたずさわっている。なお保護観察官は,その他にも全国の地方委員会に八七人いるが,これは主として仮釈放の審査関係事務に従事している。
 保護観察は,通例,都道府県の区域を分けて設けられた保護区を単位として行なわれている。保護観察官は,いくつかの保護区を担当地域として受け持ち,後述する保護司とともに,その地域における犯罪者の更生,犯罪予防のための活動に従事している。
 保護司は,保護司法の規定により,全国九一四の保護区に五二,五〇〇人が配属され,保護観察官のおこなう業務に協力し,対象者の指導監督・補導援護に当たっている。保護司の担当する対象者数は平均二人であるが,対象者の都市集中化の傾向は,都市における保護司の担当件数の増加となってあらわれ,その負担を重からしめているようである。対象者の集中する都市における保護観察態勢については,なんらかの考慮を必要とするであろう。
 保護観察は,対象者を担当して保護観察活動を行なう者,すなわち保護観察担当者(そのほとんどが保護司である)と対象者との接触およびその接触によりは握される対象者の行状と,これに対する措置を中心として実施される。保護観察担当者は,適宜な方法で対象者と接触を保ちつつ,行状をたえずは握して必要な措置をとり,その結果について,毎月一回保護観察所に保護観察成績報告書をもって報告することになっている。保護観察所長は,この報告書によって対象者の状況を知り,成績の良い者については,適当な時期に保護観察の解除等の措置をとり,また成績の悪い者については呼出し,引致,さらに場合によっては,仮出獄取消の申請,少年院への戻し収容の申し出等の措置をとる。
 保護観察担当者と対象者との接触は,担当者が対象者を訪問する往訪およびその逆の来訪等の方法で行なわれるが,その接触状況は,昭和三七年七月分成績報告書に基づき法務省保護局が調査した結果によると,II-106表のとおりであって,対象者の約九〇%が保護観察担当者と接触を保って指導を受けていることがわかる。

II-106表 保護観察対象者ひとり当りの接触回数と率(昭和37年7月中の分)