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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第5章/第3節/1 

第3節 生活意識

1 家族関係

 III-88図は,家族との関係について前回調査と比較したものである。「家族と話をする」ことが「ある」とした者の比率は,男女共に前回を上回っている。また,「自分の将来について話しかける」ことが「ある」とした者の比率も,男女共に上昇しており,家族との交流や心理的な結び付きが強くなっていることをうかがわせる結果になっている。前回調査でほ,特に女子が男子と比較して家族との交流や心理的な結び付きが弱いという傾向が認められたが,今回の調査では男女間で大きな差は見られなくなっている。

III-88図 家族との関係(経年)

 また,少年院在院少年と短期保護観察少年を比較すると,III-89図に見られるとおり,家族と話をすることや自分の将来について話しかけることが「ある」とする者の比率は,いずれも少年院在院少年の方が短期保護観察少年よりかなり低くなっており,非行性が進むに従って家族との交流が希薄になる傾向が認められる。

III-89図 家族との関係(非行性)

 次に,親の養育態度をどのように感じているかについて前回調査と比較したものがIII-90図である。大きな変化は見られないものの,いずれの項目についても,そう感じることが「ある」とする者の比率はおおむね低下しており,親の養育態度についての感じ方は多少とも良くなっていることがうかがえる。また,「親が厳しすぎる」,「親のいうことは気まぐれである」と感じている者の比率は,前回同様,女子が男子を大きく上回っている。

III-90図 親の養育態度(経年)

 同じ項目について,少年院在院少年と短期保護観察少年を比較した結果を示したものがIII-91図である。「親が厳しすぎる」については両者でほとんど差がないが,「親が自分のことを気にしない」,「親が自分のいいなりになりすぎる」については,男女共に,そう感じることが「ある」とする者が少年院在院少年の方に多く,特に女子で大きな差が見られる。女子については,このほか「親のいうことは気まぐれである」でも少年院女子が短期観察女子を大きく上回っている。このように,少年院在院少年では,短期保護観察少年と比べて,自分の親の養育態度に,放任,いいなり,気まぐれなど何らかの問題を感じる者が多いという結果になっている。

III-91図 親の養育態度(非行性)