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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第4章/第2節/1 

第2節 凶悪事犯少年の特質

1 人員・年齢層等

(1) 人員・年齢層

 最近10年間に少年鑑別所に収容されて資質鑑別を終了した少年で,非行名が殺人の少年(「殺人事犯少年」という。以下,本章において同じ。)は,合計490人(うち,男子419人,女子71人)であり,非行名が強盗(強盗致傷等を含む。以下,本章において同じ。)の少年(「強盗事犯少年」という。以下,本章において同じ。)は,合計4,656人(うち,男子4395人,女子261人)である。これを年齢層別に見ると,殺人事犯少年では,年長少年(54.9%),中間少年(33.3%),年少少年(11.6%)の順となっているのに対し,強盗事犯少年では,中間少年(47.8%),年長少年(37.8%),年少少年(14.5%)の順となっている。
 III-72図は,凶悪事犯少年(殺人事犯少年及び強盗事犯少年をいう。以下,本章において同じ。)について,年齢層別構成比の推移を見たものである。

III-72図 凶悪事犯少年の年齢層別構成比の推移(昭和63年〜平成9年)

 殺人事犯少年については,多少の起伏はあっても,年長少年,中間少年,年少少年の順は変わらないが,強盗事犯少年については,年少少年及び中間少年の比率がおおむね上昇し,年長少年の比率が低下する傾向が認められる。

(2) 入所回数

 少年鑑別所への入所回数について,最近10年間を累計して見ると,殺人事犯少年では初回の者が72.4%,2回が17.8%,3回以上が9.8%である。強盗事犯少年では,初回の者が75.5%,2回が15.3%,3回以上が92%である。
 昭和63年と平成9年について見ると,入所回数が初回の者の比率は,殺人事犯少年では77.6%から81.1%へ,強盗事犯少年では67.4%から76.1%へと,それぞれ上昇している。

(3) 職業等

 最近10年間を累計して凶悪事犯少年の本件非行時の職業等を見ると,殺人事犯少年では有職(39.6%)が最も多く,以下,無職(36.7%),学生・生徒(23.1%)の順強盗事犯少年では無職(40,8%)が最も多く,以下,有職(33.1%),学生・生徒(25.8%)の順となっており,凶悪事犯少年では学生・生徒の比率が,鑑別所収容少年総数における比率(17.7%)よりも高いことが分かる。

(4) 教育程度

 最近10年間を累計して凶悪事犯少年の教育程度を見ると,中学卒業(殺人事犯少年で38.2%,強盗事犯少年で33.5%)が最も多くなっているが,鑑別所収容少年総数に比べて,高校在学及び高校卒業以上の者の比率が高くなっている(高校在学は,総数が80%,殺入事犯少年が16.1%,強盗事犯少年が21・9%高校卒業以上は,総数が5.1%,殺人事犯少年が9.4%、強盗事犯少年が7.1%)。