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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第3章/第6節/3 

3 少年受刑者の処遇の概要

 少年受刑者は,原則として少年刑務所に収容される。
 少年刑務所には,少年受刑者(収容分類級J級)のほか26歳未満の青年受刑者(同Y級)も収容されており,少年刑務所では,これら青少年受刑者の特性を考慮し,適正な処遇案団を編成して,職業訓練,教科教育及び生活指導に重点を置いた処遇を行っており.その実施に際しては,地域社会の人々からも多くの協力を受けている。20歳未満である少年受刑者については,食事について特に配慮するほか,学習が可能なように個室を準備したり,職業訓練への編入を考慮したり,クラブ活動への参加を勧めたりするなどの配慮を行っている。
 職業訓練の種目には,溶接,自動車整備,電気工事,理容,ボイラー運転等があり,多くの者が,公認の資格・免許を取得し,又は職業的技能を習得して,出所後の自立更生に役立てている。
 教科教育について見ると,松本少年刑務所では,昭和30年から所内に地元公立中学校の分校を設け,全国の義務教育未修了である受刑者のうち,本人の希望,刑期等を考慮し,適格者を集めて入学させている。平成10年3月には,7人の修了者に対し,本校の中学校長から卒業証書が授与された。また,松本,奈良及び盛岡の各少年刑務所では,地元県立高校の協力を得て高校の通信制課程に入学させており,10年3月には3庁で合計15人が卒業証書を授与されている。このほか,希望者には,社会通信教育及び学校通信教育も受講させている。
 生活指導については,健全な精神を培い,自律心及び遵法精神をかん養し,必要な知識及び生活態度を身に付けることを目的として,青少年の特性を十分に考慮しながら,刑執行開始時の指導及び訓練,釈放前の指導及び援助,進路指導,読書指導,集会,施設外教育,体育活動等を計画的に実施している。