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 平成10年版 犯罪白書 第2編/第6章/第3節/1 

第3節 犯罪者の国外逃亡と逃亡犯罪人の引渡

1 犯罪者の国外逃亡

 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡した被疑者の数について,最近10年間の推移を見たのがII-35図である。近年増加傾向にあった国外逃亡被疑者数は,平成8年には減少して293人となったが,9年は再び増加して341人(前年比16.4%増)となっている。これを国籍(地域を含む。)別に見ると,中国が104人(総数の30.5%)で最も多く,次いで,日本88人(同25.8%),韓国・朝鮮20人(同5.9%),イラン16人(同4.7%),香港15人(同4.4%),タイ15人(同4.4%),台湾11人(同3.2%)等となっている。

II-35図 国外逃亡被疑者数の推移(昭和63年〜平成9年)

 平成9年の国外逃亡被疑者を罪種別に見ると,刑法犯の被疑者274人(うち,日本国籍58人)の内訳は,凶悪犯(ここでは,殺人,強盗,放火及び強姦をいう。)が103人(同9人)で最も多く,以下,窃盗犯91人(同5人),知能犯(ここでは,詐欺,横領,偽造,贈収賄及び背任をいう。)51人(同37人),粗暴犯(ここでは,暴行,傷害,脅迫,恐喝及び凶器準備集合をいう。)13人(同7人)等となっている。また,特別法犯の被疑者67人(同28人)の内訳は,薬物関係事犯(ここでは,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反をいう。)が30人(同12人)で最も多く,次いで,入管法違反21人(同4人),銃刀法違反5人(同5人)等となっている。
 平成9年の国外逃亡被疑者について,その推定逃亡先国(地域を含む。)を被疑者数の多い順に見ると,中国42人(うち,日本国籍3人),フィリピン32人(同28人),韓国・朝鮮18人(同3人),アメリカ16人(同12人),台湾13人(同0人),香港12人(同4人)等となっている。
 平成9年の国外逃亡被疑者341人のうち,出国年月日が判明している被疑者は127人(うち,日本国籍44人)である。この127人の出国日が,それぞれの犯行日から何日目であったかについて見ると,犯行当日が4人(同4人),犯行翌日が15人(同5人),2日後が8人(同3人),3日後が5人(同1人),4日後が6人(同1人)等となっている。犯行後10日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で50人(39.4%),犯行後30日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で64人(50.4%)である(警察庁刑事局の資料による。)。