2 主要国首脳会議 主要国首脳会議(以下「サミット」という。)においては,ハイジャック,麻薬取引,テロ,マネー・ローンダリング,国際犯罪組織等の国際犯罪に関する問題について,しばしば経済宣言あるいは議長声明として取り上げられ,これらの国際犯罪の防止に関しての国際協力強化の必要性が強調されている。 1989年に開催されたアルシュ・サミットの経済宣言に基づいて金融活動作業部会(FATF)が召集され,1990年に薬物犯罪に関するマネー・ローンダリングの犯罪化,金融機関等による顧客の身元確認及び疑わしい取引について権限ある当局への報告,不法収益の没収及びその保全,国際協力の強化等のマネー・ローンダリング対策についての勧告を行っている(旧40の勧告)。1996年に,同勧告は改訂され,マネー・ローンダリング罪の前提犯罪を薬物犯罪以外の重大犯罪にも拡大すべきことなどが勧告された(新40の勧告)。これを受けて,我が国においても,平成10年3月,一定の罪の犯罪行為により得た犯罪収益等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為及び犯罪収益等の隠匿・仮装・収受の処罰に関する規定を設けること等を内容とする「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」が国会に提出された。 国際組織犯罪については,1995年のハリファックス・サミットの議長声明を受けて,国際組織犯罪対策に関する上級専門家会合が設置され,1996年のリヨン.サミットにおいて,情報提供者・証人等の保護,電子監視,アンダーカバー・オペレーション,コントロールド・デリバリー(監視付き移転)等の技術の重要性と有効性等を含む国際組織犯罪対策についての40の勧告が発表され,1997年のデンヴァー・サミットにおいてその勧告の実施状況について報告が行われた。 また,同サミットでは,今後,いわゆるハイテク犯罪の捜査・訴追・処罰とハイテク犯罪に対応する技術的・法的能力の構築に焦点を当てていくことについて声明がなされ,1997年12月に開かれた主要国司法・内務閣僚級会合において,電気通信及びコンピュータ・システム濫用の適切な犯罪化やハイテク犯罪捜査を促進するための法制度の検討等を内容とする「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」が表明され,さらに,1998年のバーミンガム・サミットにおいて,同計画を実施することについて意見の一致をみた。
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