分類処遇は,科学的な指標に臨床的知見を加えた判定に基づき,保護観察対象者を処遇の難易度に応じてA・B2段階に分類し,問題が多く処遇が困難と予測されたA分類の者に対しては,保護観察官による直接的処遇を積極的に行うこととする制度である。
　II-30図は,昭和46年に現行の分類処遇制度が発足して以降A分類とされた者の比率の推移を見たものである。近年,仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者のいずれにおいても,A分類とされた者の比率が上昇する傾向にあり,処遇困難者が増加していることがうかがえる。

II-30図　A分類率の推移(昭和46年〜平成9年各12月31日現在)

　類型別処遇は,覚せい剤事犯対象者,シンナー等濫用対象者等,保護観察対象者のもつ問題性その他の特性を,犯罪・非行の態様,環境条件等により11区分に類型化した上,各類型ごとに具体的な処遇指針を例示し,その特性に焦点を合わせた処遇を実施するものであり,平成2年5月から実施されている。9年12月31日現在,「覚せい剤事犯」類型には,仮出獄者の25.1%,保護観察付き執行猶予者の24.7%が,それぞれ該当しているほか,「暴力組織関係」類型には同じく4.2%と5.1%,「性犯罪」類型には同じく3.6%と3.3%が,それぞれ該当している(法務省保護局の資料による。)。

　定期駐在は,保護観察官が,保護観察対象者が居住する地域の市区町村の公的機関,更生保護施設等のあらかじめ定められた場所に定期的に出張し,その駐在場所を拠点に,保護観察対象者やその家族等関係者との面接,家庭訪問,保護司や関係機関・団体との連絡・協議を積極的・効率的に実施するものである。また,保護観察官は,その際,非行問題等に関する地域住民からの相談に応じるなどの業務も行っている。更生保護施設においては,夕刻から夜間にかけて,又は宿泊した上で早朝等に面接等が実施されている。II-30表は,最近5年間における定期駐在の実施回数と駐在場所における被面接人員(保護観察対象者等)を見たものである。

II-30表　定期駐在実施状況(平成5年〜9年)

　矯正処遇から保護観察への円滑な移行を目的として,仮出獄を許可された長期刑受刑者のうち,地方委員会が相当と認め,かつ,本人の同意を得た事案について,仮出獄当初の一定期間を更生保護施設に居住させ,原則として外部の職場に通勤させるほか,個別的及び集団的な方法により,生活訓練を中心とした処遇を計画的・集中的に行う中間処遇を実施している。この中間処遇実施対象者は,平成9年は149人であり,本制度が一部改正された昭和61年6月1日から平成9年12月31日までに,累計で1455人に達している(法務省保護局の資料による。本章第2節3(2)参照)。