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 平成 9年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/2 

2 家庭裁判所における事件処理

 昭和27年以降の家庭裁判所の事件処理に関しては,交通関係業過,道交違反及び虞犯を除く一般保護事件(以下,本項において「一般保護事件」という。)の終局処分の構成比を見ると,長期的には,審判不開始の比率は上昇し,近年では70%以上で推移しているのに対し,不処分,各保護処分及び検察官送致(逆送)の比率は,いずれも長期的には低下傾向にあり,特に,逆送されるものは1%に満たない。このことの背景には,近年,一般保護事件の大部分が窃盗又は横領によって占められていること,審判不開始又は不処分の場合にも保護的措置が採られていることがあると考えられる。
 次に,交通関係業過及び道交違反は,交通関係業過について昭和27年(この当時においては業過を含む。)と平成6年及び7年とを比較すると,一般保護事件とは逆に,審判不開始が約20%にまで低下している一方で,保護観察の比率が約23%に上昇している。また,検察官送致は約17%であったものが低下はしているものの,なお約7%となっている。道交違反についても,審判不開始が低下している一方,保護観察及び検察官送致が上昇している。
 このように,交通関係業過や道交違反は,一般保護事件と比較すると検察官送致の比率が高い。
 さらに,虞犯については,昭和27年と平成6年及び7年とを比較すると,保護観察が約13%から30%台へ上昇している。