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 平成 9年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/1 

第2章 憲法施行50年の犯罪者処遇

第1節 検察及び裁判

1 検察及び裁判の組織並びに刑事訴訟手続

 日本国憲法の施行の日である昭和22年5月3日,同憲法と同時に施行された裁判所法,検察庁法等によって,現在の裁判所及び検察庁の構成が定められた。それまで司法大臣の行政監督権の下にあった裁判所は,その監督権から離れ,憲法自らが定める最高裁判所ほかの裁判所が設置された。一方,それまで裁判所に付置されていた検事局は廃止され,裁判所とは別に,独立して検察庁が設置された。その後,24年1月には,少年事件の審判等を行う家庭裁判所が設けられ,現在の検察庁及び裁判所の組織が整えられた。
 刑事訴訟手続は,昭和24年1月に現行の刑事訴訟法が施行されることにより大きな変革がもたらされた。現行の刑事訴訟法は,日本国憲法の精神にのっとり,実体的真実の発見並びに被告人及び被疑者の人権保障を基本理念として,大陸法系の理念や規定に英米法のそれを大幅に加えたものであり,(旧)刑事訴訟法と比較して多くの主要な相違点が認められる。その後,刑事訴訟法は,いくたびかの部分改正を経ているが,なかでも,28年11月には,施行後4年を経て運用上現実に障害のある点を除去するなどのための改正が行われ,また,33年5月には,証人威迫罪が新設された刑法の一部改正及び証人等の被害についての給付に関する法律の制定に併せて,刑事手続における証人の立場に配慮した規定を設けるなどしている。