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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第3章/第1節/2 

2 戦後の検察組織

 戦後の検察庁の構成等は,昭和22年4月に裁判所法(本編第4章第1節参照)と同時に公布され,日本国憲法施行の日である同年5月3日から施行された検察庁法(昭和22年法律第61号)等で定められた。裁判所法の附則によって裁判所構成法は廃止されるとともに,検察庁法によって,それまで裁判所に付置されていた検事局に替わって,裁判所とは別に独立して,「検察官」の事務を統括するところとしての検察庁が設置された。
 検察庁法は,おおむね裁判所構成法による検察制度を踏襲しているが,従来の制度で改革された主要な点は,[1]日本国憲法(77条2項)の用例に従って「検察官」の名称が用いられ,検察官の種類としては,検事総長,次長検事,検事長,検事及び副検事の五つが定められた(なお,各地方検察庁には,その庁の職員を指揮監督する権限等を有する検事正を置くとの規定も設けられた。)こと,[2]検事局が検察庁に改められ,検察庁の種類として,最高裁判所に対応する最高検察庁,高等裁判所に対応する高等検察庁,地方裁判所及び家庭裁判所に対応する地方検察庁,及び簡易裁判所に対応する区検察庁の四つが置かれたこと,[3]検察官は従来と同様,司法大臣の指揮監督に服するものの,検察権行使の独立性を担保するために,個々の事件の取調べ又は処分については,司法大臣は検事総長のみを指揮することができるとされたことなどである。
 さらに,検察官は,同法によって,公益の代表者として,[1]犯罪について捜査をする権限,[2]刑事について公訴を行う権限,[3]刑事について裁判所に法の正当な適用を請求する権限,[4]刑事について裁判の執行を監督する権限,[5]裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは,裁判所に,通知を求め,又は意見を述べる権限,[6]他の法令がその権限に属させた事務を行う権限を有することとされた。
 検察庁法は,その制定後,司法省から法務庁への機構改革に伴う昭和22年の改正,検察官の罷免事由を拡大するなどした23年5月の改正,家庭裁判所の新設等に伴う23年12月の改正,法務庁から法務府への機構改革に伴う24年の改正,裁判所法の一部改正に伴う25年の改正,法務府から法務省への機構改革に伴う27年の改正,沖縄復帰に伴う46年の改正,司法書士法の改正に伴う53年の改正,国家行政組織法の改正に伴う58年の改正等を経て現在に至っているが,この間,検察の組織又は検察官の権限に関する実質的な改正はなされていない。
 検察庁の組織数は,平成8年12月31日現在,最高検察庁1,高等検察庁が本庁8,支部6,地方検察庁が本庁50,支部203,区検察庁438となっている。