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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第2章/第4節/5 

5 更生保護事業法の制定

 補導処分の新設後は,行政不服審査法等他の法令の制定・改正に伴う一部改正や組織整備等のための一部改正はあったものの,更生保護に関する基本法の大規模な改正はなく,省令,訓令・通達等の制定・改正による諸施策の導入や運用上の整備が進められた。
 しかし,平成6年6月,法務大臣の事業経営認可を受けて更生保護事業を営む者が設置する保護施設の建替え等施設改善の促進を図ることを目的として,更生緊急保護法が一部改正(平成6年法律第58号)され,施行された。
 これによって,法律上の国による補助の要件が緩和され,更生保護施設整備費補助金制度が創設されることとなった。
 続いて,平成7年5月には,更生保護事業法(平成7年法律第86号)と更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律(平成7年法律第87号)が公布されるとともに一部施行され,さらに,翌8年4月に全面的に施行された。更生保護事業法の全面施行に伴い,更生緊急保護法は廃止された。
 更生保護事業法の施行によって,更生保護事業の概念が明確化されるとともに,更生保護事業に対する国の責務と地方公共団体の協力が明記され,また,更生保護法人制度が新たに設けられることとなった。(本編第6章第5節参照)これにより,更生保護法人に対する税制上及びその他の優遇措置が採られることが可能となり,社会福祉法人との法制度上の格差の解消が図られることとなった。さらに,更生緊急保護法に規定されていた,満期釈放者等に対する更生保護は更生緊急保護という用語に改められた上,犯罪者予防更生法において規定されることとなった。