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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第6章 

第6章 諸外国の犯罪動向との対比

 本章においては,我が国の犯罪動向の特徴を見るために,入手し得た公的資料の範囲内で,1986年から1995年までの10年間における諸外国の犯罪の動向について概観する。
 比較対象国として選定したのは,アメリカ,連合王国(ただし,イングランド及びウェ-ルズに限る。以下,本章においては「イギリス」という。),ドイツ及びフランスの4か国である。
 我が国とこれら4か国における,主要な犯罪(その罪名については,巻末資料I-19注2参照。),殺人及び窃盗について,認知件数,認知件数の人口10万人当たりの比率(以下「発生率」という。)及び検挙率を対比する。
 言うまでもなく,特定の犯罪の発生率及び検挙率のみによって犯罪動向を即断することは適当ではなく,さらには,我が国とこれら各国においては,犯罪とされるものの範囲や犯罪構成要件を異にし,また,統計の取り方も同一ではないため,正確な比較・検討は困難である。しかし,各国の犯罪動向を概括的に把握するとともに,我が国と各国の統計数値を比較することは,我が国の犯罪動向を国際的な視点から分析する上で有益であると考える。
 なお,ドイツについては,1990年10月3日に旧ドイツ民主共和国を編入したため,犯罪統計では,1991年からは旧ドイツ民主共和国に相当する地域で発生した犯罪を含んでいる。