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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第5章/第2節/6 

6 いじめと非行

 昨今,児童生徒のいじめ問題が深刻化しており,いじめが関係したと考えられる自殺が発生するなど,憂慮すべき状況にある。
 文部省初等中等教育局の資料によれば,平成7年度(会計年度)におけるいじめの態様中,最も件数の多かったものは,ひやかし・からかい(2万2,954件)であり,次いで,言葉での脅し(1万4,063件),仲間はずれ(1万3,741件),暴力(1万3,217件)の順となっており,一口にいじめといってもその態様は様々で,必ずしもすべてが刑事司法手続の対象とされるわけではない。また,行為の性質上,実態を把握しにくいのが実状である。
 I-12表は,警察庁生活安全局の資料により,昭和59年以降のいじめに起因する事件の推移を見たものである。

I-12表 いじめに起因する事件の推移

 いじめは,単に加害者側が加える攻撃の問題にとどまらず,攻撃される側,すなわち被害少年が,いじめに対する仕返しとして,殺人,傷害等を犯したり,自殺をするなどの事例も見られる。平成8年の事件総数162件のうち,13件がいじめの仕返しによる事件である。
 法務省では,平成6年に,子どもの人権問題を専門的に取り扱う「子どもの人権専門委員(子ども人権オンブズマン)」制度を設け,9年6月現在,計685人の専門委員を全国の法務局・地方法務局に配置し,いじめに悩む人々に対する相談活動を行い,いじめ解消のための適切な処置を講じている。