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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第4章/第4節/2 

2 銃器犯罪の動向

 銃器を用いた犯罪の検挙件数並びに用いられた銃器がけん銃である件数及び暴力団勢力(暴力団の構成員及び準構成員)により引き起こされた件数のそれぞれの比率の推移を見たものがI-43図である。
 昭和50年代及び60年代の初めに検挙件数が急増し,50年から52年にかけてはおおむね350件,60年から62年にかけてはおおむね250件を記録した。いずれも暴力団同士の大規模な対立抗争等,暴力団勢力による犯行が大きな要因を占め,検挙件数の中で暴力団勢力による事件の占める比率も70%台から90%台と高くなっている。銃器使用犯罪検挙件数は,平成に入ってからはおおむね減少傾向を示し,平成8年には124件である。しかし,その内容を見ると,近年は,昭和40年代から50年代のころと比べ,けん銃が使用される比率が高まる一方で,暴力団勢力による事件の比率は低下を続けている。検挙件数の実数においても暴力団勢力によるものが減少を続けているのに対し,それ以外のものは横ばいから漸増の傾向を示している。
 平成8年の銃器使用犯罪検挙件数は暴力団勢力によるものが82件で,前年に比べ29件(26.1%)減少したのに対し,暴力団勢力以外の者によるものは42件で,前年に比べ3件(6.7%)の減少にとどまり,その比率は増大している。

I-43図 銃器使用犯罪検挙件数の推移

I-44図 けん銃押収丁数の推移

 次に,最近5年間の警察によるけん銃の押収丁数の推移を見たのがI-44図である。けん銃の押収T数は平成7年までは増加を続けていたが,8年には減少している。これは暴力団勢力からの押収丁数が減少したことによるもので,暴力団勢力以外の者からの押収丁数は6年まで増加を続けた後,横ばいのまま推移している。