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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第9章/第4節/4 

4 被害者対策

 被害者補償については,フランスには,被害者本人が別に民事訴訟を提起することなく,被害を受けた犯罪の刑事裁判において,捜査機関が入手した証拠を利用して,被告人に損害賠償請求訴訟を同時に行う「私訴」(action civile)の制度がある。しかし,被告人に賠償能力のあることはまれであり,1977年になって国による損害補償制度が設けられた。その内容は,徐々に充実してきており,刑事訴訟法に規定された現行制度では,凶悪事件に対応するため,死亡や重い障害による1か月以上の労働不能,強姦又は強制わいせつによる精神的損害を含む損害に対しては,被害者の経済的事情等に関係なく,被害者補償基金から補償を受けることが可能となっている。