第3節 被害者の遺族に関する特別調査結果
1 特別調査の概要 法務総合研究所では,無期懲役確定者の死亡被害者の遺族(以下「被害者遺族」という。)について,その被害感情等の実態を明らかにするため,地方検察庁の協力を得て,総合的な実態調査を実施した。 調査対象は,昭和58年7月8日から平成6年9月30日までの間に死亡被害者が発生した事件により無期懲役刑が確定した者382人に係る被害者遺族382人である(死刑確定事件を対象としなかったのは,もともと事件数が少ない上,一部は再審請求のため法務・検察内部に事件記録がない等,悉皆調査が困難であったことによるものである。)。 なお,本調査では,1人の被害者に複数の加害者(共犯者)がいる場合は,最も詳しい資料のある加害者1人を選択し,他の共犯者は除いた。また,被害者及びその遺族についても,[1]同一の判決で複数の死亡被害者がいる場合,判決で最も重い旨認定された事実に係わる被害者1人を,及び[2]1人の被害者について複数の被害者遺族の供述がある場合,詳細な資料が存在する被害者遺族のうち,最も血縁関係が近い被害者遺族1人を選択した。 調査方法は,刑事確定訴訟記録中の被害者遺族の上申書,供述書,調書等(以下「調書等」という。)を精査し,調査票に記入し集計したが,[1]調査対象の期間は,判決の確定前の一時期に限定されていること,[2]被害者遺族の感情の変化により,同一の調査事項に対して,作成日の異なった意見や感情が読み取れた場合には,作成日が新しいものを採用していること,及び[3]調査項目に対する資料の不足から,確定前の期間を一つのまとまった期間としてとらえることとして,複数の作成日の異なる資料を併せて資料源としたため,確定前の短期間における被害者遺族感情の変化等については把握し得ていないことが留意すべき点である。 以下,主要な調査項目について,調査結果の概要を見ることとする。
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