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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第8章/第2節/2 

2 被害者救済に対する新しい動向

 (1) 警察庁では,平成8年1月に被害者対策の基本方針を策定し,種々の対策を講じ始めている。基本方針では,施策の推進に当たって,[1]被害者のニーズにかんがみ,重大な被害を受けている被害者への対策を重視することとし,大きな問題を抱えている身体犯の被害者,特に女性の性犯罪被害者や殺人及び傷害致死の被害者の遺族に重点を置くこととし,[2]少年の被害者についても,被害者対策上の重要な対象として位置付け,当面警察が取り組む個別的施策内容を示しているほか,[3]警察において被害者のニーズにすべて対応することはできないことから,他機関・民間団体との連携も視野に入れた施策の推進を図る,ということなどが盛り込まれている。
 また,8年5月に警察庁に「犯罪被害者対策室」が設置されている。
 (2) 生命及び身体に対する被害を被った被害者又はその遺族は経済的打撃のみならず,精神的打撃も大きく精神面-に種々の問題を抱えている。このような問題を抱えている被害者等の支援に対する社会的関心が高まりつつあり,最近,犯罪被害者を支援する民間組織・団体が設立され,被害者の抱えている悩みなどの相談,精神的被害を被っている被害者に対するカウンセリング活動や各種情報の提供等の援助・支援活動を始めている。