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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第8章/第1節/1 

第8章 凶悪犯罪の被害と被害者

第1節 犯罪被害の実情

1 凶悪犯罪の被害者数と被害内容

 本項では,昭和55年から平成7年までの16年間における殺人及び強盗の被害者総数と,生命又は身体に対する被害について死傷別の被害者数を見る。
(1) 殺  人
 III-45図は,殺人の被害者総数と死傷別被害者数の推移を見たものである。
 殺人の被害者総数は,昭和60年の2,015人をピークとして,以後減少傾向にあったが,殺人の認知件数の増加に伴って,平成4年から再び増加に転じ,特に,いわゆる地下鉄サリン事件のあった7年は6,217人となっている。警察庁の統計によると,殺人のうち,殺人罪(刑法199条の罪に限る。)の被害者数が増加傾向にある。殺人の被害者総数のうち女性の占める比率は,昭和60年(41.2%)及び平成7年(40.3%)を除いて,30%台で推移している。

III-45図 殺人の死傷別被害者数の推移(昭和55年〜平成7年)

 死者数は,昭和55年から減少傾向にあったところ,平成4年から増加に転じたものの,7年は前年より27人減少し,724人となっている。死者のうち女性の占める比率は,40%台で推移している。重傷者数は,昭和60年から減少傾向にあったが,平成7年には前年より597人増加し,903人となっている。重傷者のうち女性の占める比率は,おおむね20%台で推移していたが,7年は33.7%となっている。軽傷者数は,5年から増加に転じ,7年は前年より4,269人増加し,4,590人となっている。軽傷者のうち女性の占める比率は,おおむね20%台から30%台の間を推移していたが,7年は40.5%となっている。7年の重傷者及び軽傷者数が大幅に増加しているのは,地下鉄サリン事件等の被害者が計上されているためである。
(2) 強  盗
 III-46図は,強盗の被害者総数と死傷別被害者数の推移を見たものである。

III-46図 強盗の死傷別被害者数の推移(昭和55年〜平成7年)

 強盗の被害者総数は,昭和57年の1,018人を除き,62年まで900人台で推移し,63年及び平成元年に800人台,2年に700人台と減少したが,強盗の認知件数の急激な増加に伴い,3年から増加傾向に転じた二7年は前年より81人減少し,1,097人となっている。警察庁の統計によると,強盗のうち,強盗傷大罪の被害者が3年から増加傾向にあったが,7年には前年より75人減少し,1,038人となっている。強盗の被害者総数のうち女性の占める比率は,おおむね30%台で推移していたが,6年から20%台となっている。
 死者数は,平成7年においては前年より8人減少し,28人となっている。
 死者のうち女性の占める比率は,おおむね40%ないし50%台で推移している。重傷者数は,漸増傾向にあり,7年には94人となっている。重傷者のうち女性の占める比率は,10%から30%台で推移しており,7年には26.6%となっている。軽傷者数は,3年から増加傾向にあったが,7年は前年より78人減少し,975人となっている。軽傷者のうち女性の占める割合は,30%前後で推移していたが,5年からは20%台となっている。