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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第7章/第3節/4 

4 凶悪事犯保護観察対象者の保護観察期間中における再犯

 III-43図は,殺人・強盗に係る少年院仮退院者及び仮出獄者について,保護観察期間中に再非行・再犯があり,新たな処分を受けた者の比率(再犯率)の推移を最近5年間にわたって見たものである。
 少年院仮退院者の場合,殺人・強盗の再犯率は,窃盗の平成5年と6年を除き,仮退院者全体よりも低い。一方,仮出獄者の場合は,仮出獄者全体よりもかなり高率である。これは,殺人・強盗事犯は長期刑の者が多いことから,保護観察期間も長くなることに一因があるものと考えられるが,再犯の内容を見る必要がある。

III-43図 凶悪事犯保護観察対象者の保護観察中の再犯率の推移(平成3年〜7年)

 III-44図は,仮出獄者で保護観察中に再度の犯罪を起こし,新たな処分を受けた者を最近5年間累計して,再犯時の罪名別構成比を見たものである。
 殺人,強盗に係る仮出獄者のいずれも,その再犯は道路交通法違反や業務上過失致死傷などの交通事犯が大半を占め,再び殺人・強盗を犯した者は,強盗に係る仮出獄者(73人)のうち3人(4.1%)のみである。

III-44図 凶悪事犯仮出獄者の再犯の罪名別構成比(平成3年〜7年の累計)

 なお,法務省保護局の資料によると,平成7年1月1日現在,殺人及び強盗に係る無期刑仮出獄者は603人おり,そのうち7年中の再さ囚はり罰金刑以上の言渡しを受けた者(7年中に未処分の者を含む。)は14人である。これらについて,再犯の罪名と処分内容を見ると,道路交通法違反等により罰金刑の言渡しを受けた者が7人,懲役刑の言渡しを受け仮出獄を取り消された者が7人であり,うち3人が殺人又は強盗の再犯者である。