前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第7章/第3節/2 

2 凶悪事犯保護観察対象者の処遇上の問題点と対策

 凶悪事犯保護観察対象者の処遇上の問題点としては,次のような事項が挙げられる。
[1]長期の施設生活により,社会の情勢に疎く,また就職等に社会的制約が多いなど,社会適応能力が低下している場合が多いこと。
[2] 事件の重大性及び長期の受刑により,頼るべき親族,縁故者がほとんどいないものが多いこと。
[3] 周囲に前歴を秘匿している場合,本人の生活実態の把握が困難であり,家庭や職場における接触に工夫を要すること。
[4] 再犯をしたときは,これに対する社会的反響が大きいこと。
 これらの対策としては,前述の中間処遇の積極的活用を始め,次のような処遇方針を基本として,慎重な処遇を実施している。
[1] 社会生活に対する不安の除去に努めるとともに,日常生活に必要な知識,技術及び態度の習得を助ける。
[2] 必要に応じて,公共職業安定所,福祉・医療機関等の社会資源を活用し,生活の安定を図る。
[3] 本人の心情を十分に受け止め,特に職場や地域社会における対人関係,結婚等の問題については懇切な助言に努める。
[4] 積極的な往訪,定期的な面接の実施等により,常に生活実態のきめ細かい把握に努める。
[5] 不安定な行状が認められる者については,遵守事項違反の状況に照らし,仮出獄取消し等の措置を速やかに執る。