III-58表は,保護観察新規受理時における凶悪事犯保護観察対象者の主要な身上特性を見るため,その過半数を占める仮出獄者を取り上げ,男女別,年齢層,居住状況,職業,不良集団関係及び薬物等使用関係について,平成7年における状況を罪名別に示したものである。仮出獄者全体と比較すると,仮出獄時の居住状況では,殺人に係る彼出獄者は更生保護施設に帰住する者の割合が高く,事案内容から仮出獄後の受入れ環境が不良な者や帰住先のない凶悪事犯対象者の帰住先として,また,後述する中間処遇施設として更生保護施設が活用されている。また,暴力組織などの不良集団に所属したり,覚せい剤などの薬物を使用していた比率は,仮出獄者全体に比べると低い。
III-58表 凶悪事犯仮出獄者の新規受理時における身上特性別構成比(平成7年)
III-41図は,凶悪事犯保護観察対象者の生活実態を見るため,殺人及び強盗の罪を犯した無期刑仮出獄者について,平成7年12月末日現在の就労.居住・生計状況を見たものである。就労状況では,殺人事犯の約7割,強盗事犯の約6割が定職に就いているが,居住状況を見ると,単身生活が殺人・強盗事犯共に4割近くを占めており,保護観察実施上,無期刑仮出獄者の生活実態の把握が困難な理由の一つとなっている。
III-41図 凶悪事犯無期刑仮出獄者の生活状況(平成7年12月31日現在)