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2 凶悪事犯の処理における特徴 最近5年間の凶悪事犯についての起訴猶予率は,殺人はおおむね5%前後を,強盗致傷等は3%台から5%台の間を,強盗はおおむね7%台から10%台の間を,それぞれ推移している(巻末資料III-7参照)。
同じ期間に,全事件の起訴猶予率は30%前後を,交通関係業過を除く刑法犯においても起訴猶予率は38%の前後を,それぞれ推移していることと比べると,凶悪事犯の起訴猶予率は極めて低い水準にある。 なお,平成7年を例にとれば,殺人における起訴猶予人員35人は,殺人予備による者及び自殺関与による者などであり,強盗における同人員60人は,準強盗による者及び強盗予備による者などである。また,法務省刑事局の資料によると,殺人については,3年から7年までの間に累計で29人の精神障害者が心神耗弱であるとして起訴猶予処分を受けている。 III-15表は,最近5年間の凶悪事犯についての不起訴処分人員の理由別構成比を見たものである。 III-15表 凶悪事犯の不起訴処分における理由別構成比(平成3年〜7年) 殺人についての最近5年間の処理状況を見ると,強盗及び強盗致傷等と比較して,嫌疑なし又は心神喪失を理由とする不起訴処分の人員が極めて多い。前者が多いのは,告訴・告発に係る事件中には,告訴人又は告発人の主張が十分な根拠に基づいてなされていないものも含まれていることなどによる。心神喪失を理由とする不起訴処分に関して,法務省刑事局の資料によると,平成3年から7年までの間に,累計で1,957人の精神障害者が同処分理由に基づく不起訴処分を受けているが,このうちの614人が殺人の被疑者である。 |