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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第8章/第4節/2 

2 調査結果

(1) 判決の内容
 IV-28表は,裁判所が言い渡した判決の内容について見たものである。
 初度の執行猶予の言渡しに伴い,裁量的に保護観察に付された者が92.9%を占め,再度の執行猶予の言渡しに伴い,必要的に保護観察に付された者は7.1%である。前回調査に比べ,裁量的に保護観察に付された者の比率が16.5ポイント高くなっている。

IV-28表 刑期等別構成比

 本刑の刑期について見ると,1年を超え2年以内の者が最も多く,66.8%を占めている。前回調査においては1年以内の者が79.2%を占めていることに比べ,刑期は長くなっている。
 執行猶予期間について見ると,3年が52.5%で最も多くなっている。
(2) 身上特性
 IV-29表は,保護観察受理時における主要な身上特性別の構成比を見たものである。男女別を見ると,男子が74.8%で,女子が25.2%であり,前回調査に比較して女子の占める比率が8.6ポイント高くなっている。
 年齢について見ると,24歳以下が43.5%で最も多い。前回調査に比べると,24歳以下の者の比率が21・0ポイント高くなっている。さらに,女子では,24歳以下の者が56.8%を占めているのが特徴的である。
 学歴について見ると,義務教育未修了,義務教育修了及び高等学校中退の比率の合計は87.8%であり,高等学校卒業以上の学歴を有する者の割合は2割に満たず,前回調査と同様の傾向を示している。

IV-29表 身上特性別構成比

 暴力組織関係について見ると,幹部,構成員又は準構成員として現に暴力団に加入している者の割合は9,6%で,そのすべてが男子である。この点も,前回調査と同様の傾向を示している。
(3) 事犯の態様等
 IV-30表は,本件覚せい剤事犯の態様,覚せい剤の取扱量及び本件罪名における覚せい剤取締法違反以外の罪名の有無を見たものである。態様について見ると,93.8%の者が自己使用にかかわり,そのほか,所持が42.5%,譲受けが29.2%,譲渡しが9.0%となっており,前回調査に比べ,自己使用が12.1ポイント,所持が8.8ポイント高くなっている。
 取扱量について見ると,1g以下の比率が最も高い。
 本件罪名について見ると,覚せい剤取締法違反のみの者が8割以上を占め,特に,女子においては9割を超えている。

IV-30表 事犯態様等別構成比

(4) 保護観察開始時の生活状況
 IV-31表は,保護観察が開始された当初における生活状況を見たものである。居住態様について見ると,親・兄弟姉妹と同居している者の比率が43.2%で最も高く,配偶者(内縁を含む。)と同居している者(28.3%),単身居住者(16.8%)の順となっている。前回調査と比べ,全体的に,配偶者と同居している者が減少し(13.8ポイント低下),単身居住者が増加(5.8ポイント上昇)している。職業について見ると,被雇用者の比率が42.2%を占め最も高いが,その他の無職の者も32.3%となっている。前回調査に比べ,その他の無職の比率は9.0ポイント高くなっている。
 生計状況について見ると,普通以上が79.5%を占めている。前回調査に比べ,普通以上は3.1ポイント増加している。
(5) 保護観察の経過
ア 保護観察開始後2年時の状態
 IV-32表は,調査対象者全員について,保護観察開始後2年時の状態を見たものである。良好な状態にある者は,仮解除中の者7.1%と成績良好と評定された者39.1%の合計46.2%である。一方,68人(21.1%)が再犯等により保護観察を取り消されており,平成4年中の保護観察付き執行猶予者新規受理人員のうち,判決確定後2年経過時までに執行猶予を取り消された者の比率14.1%と比較すると,この種事犯者の執行猶予取消率が高いことを示している。

IV-31表 保護観察開始時の生活状況別構成比

IV-32表 保護観察開始後2年時の状態別構成比

イ 保護観察期間中における再犯の罪名及び再犯期間
 IV-33表は,保護観察期間中に公判請求された再犯者(74人・23.0%)について,再犯罪名及び再犯期間を見たものである。再犯罪名を見ると,覚せい剤取締法違反が59人(再犯罪名の79.7%)と圧倒的に多くなっている。再犯期間について見ると,保護観察開始後3月以内に再犯に至った者が28.4%を占めている。

IV-33表 保護観察(期間)中の再犯期間別構成比

ウ 保護観察開始後2年経過時における生活状況
 IV-34表は,保護観察開始後2年経過時における生活状況を見たものである。居住態様について見ると,配偶者と同居している者が35.4%を占めて最も多く,次いで,親・兄弟姉妹と同居している者が27.6%,単身の者17.7%等となっている。
 配偶者関係について見ると,未婚の者が35.1%を占め,次いで,有配偶者が32.3%,離別・死別が14.6%,内縁関係にある者が11.5%となっている。
 職業について見ると,被雇用者が49.1%を占め,次いで,自営業・家業の者が20.2%,その他の無職者が18.9%などとなっている。

IV-34表 保護観察開始後2年時における生活状況別構成比