3 まとめ 今回調査を基に,覚せい剤事犯受刑者の実態を,前回調査と比較してみると,男子においては40歳代及び50歳代の比率が上昇して高齢化が進行し,女子においては50歳代の比率の増加は若干あるものの,30歳未満の者の比率が大幅に増加したことから,低年齢化の傾向が認められる。 男女ともに再入者の比率が増加しているが,女子において,初入者が半数を占めていることは,依然として若年の覚せい剤濫用者が出現しているものと考えられる。 前回調査と比べ,覚せい剤事犯新受刑者の刑期は長くなっている。 昭和56年と比較し,覚せい剤事犯新受刑者中に占める初入者の比率が減少したこと,覚せい剤事犯受刑者が再犯に至るまでの期間が長くなったこと及び昭和52年の覚せい剤事犯出所者と平成元年のそれとの比較から再入率が低下していると認められること等は,これまで実施されている様々な覚せい剤濫用防止対策の成果であるといえる。 前回調査においては,覚せい剤事犯受刑者の中に,暴力団の加入者又は家族が多く見られたが,今回調査において,男子では,暴力団加入者に代わり,元暴力団加入者の比率が上昇し,女子は,暴力団加入者の家族に代わり,暴力団加入者と交際する者の比率が上昇した。 また,今回調査では,覚せい剤を入手するための資金源として,「覚せい剤を売る」の比率が大幅に減少した。そして,覚せい剤事犯新受刑者について,覚せい剤の使用期間が長くなっていることから見ると,無償又は小遣い等により,継続的かつ長期間覚せい剤を入手して使用している濫用者集団が存在することがうかがえるのである。
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