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2 調査結果 今回調査対象者の平均年齢は,男子38.2歳,女子36.5歳であり,犯行時に無職だった者は,男子14.7%,女子(主婦を含む。)57.2%である。
今回の調査対象者の犯罪の態様をみると,自己使用のみの者が,54.2%(924人)と最も多く,次いで,使用及び所持29.3%,使用及び譲渡し7.3%,所持2.9%,使用及び譲受け2.7%となっている。 また,今回の覚せい剤事犯について,「営利目的なし」と答えたものは,男子では87.1%,女子では86.5%という結果になっている。 IV-27図は,対象者の覚せい剤以外の薬物使用歴を見たものである。 前回調査と比較すると,「使用歴なし」と答えた者の比率は減少し,シンナー等及び大麻の使用歴のある者の比率は高くなっている。 暴力団加入者との関係を男女別に見たのがIV-15表である。 「関係なし」と答えたものの比率は,前回調査と比べ,男子は増加し,女子は減少している。 平成6年では,男子においては元暴力団加入者(34.2%),女子においては暴力団加入者との交際あり(46.6%)が特に多い。 女子について,前回調査と比べると,暴力団加入者の家族である者の比率は大幅に減少し,逆に暴力団加入者と交際のある者の比率は大幅に上昇している。 IV-27図 覚せい剤以外の薬物使用歴 覚せい剤に対する意識について,「悪い」と考えるものが大多数(男子では93.7%,女子では94.7%)であり,そのうち41.2%は覚せい剤を使用し又は取り扱う以前から「悪い」と考えている。「悪い」と思う理由について見ると,IV-16表のとおりである。 前回調査と比べ,「体に悪い」と答えた者の比率が男女とも大幅に減少し,逆に,「家族や友人に迷惑をかける」と答えた者の比率が大幅に増加している。 覚せい剤の使用・取扱いをやめる意思については,「絶対やめたい」と答えた者は,男子では77.8%,女子では76.5%である。 IV-17表は覚せい剤の使用又は取扱いをやめる意思の有無等について調査した結果である。 今回の調査を前回調査と比べると,合わせて84%以上を占める「やめられると思う」又は「絶対にやめられると思う」と回答した者の比率が若干減少し(男子で3.0ポイント・女子で7.6ポイント),また,男子では「絶対にやめられると思う」の比率が増え第1位(44.7%)になった(前回調査では第2位)のに対し,女子では「絶対にやめられると思う」の比率が大幅に低下し(10.1ポイント減少),「やめられると思う」が第1位(46.4%)になった(前回調査では第2位)。 今回の調査対象者のうち,「自己使用の経験あり」と答えた者は,男子では1,025人(98.0%),女子は654人(99.2%)である。以下,これらの者について,初回使用時の状況,使用継続の状況,使用金額とその資金源,家族・身体に及ぼした影響について見ることとする。 IV-15表 暴力団加入者との関係 IV-16表 覚せい剤の使用等が「悪い」と思う理由 IV-17表 覚せい剤の使用等をやめる可能性 IV-28図 覚せい剤を初めて使用した年齢 初めて覚せい剤を使用した年齢を示したのがIV-28図である。最も多い年齢は,男子では20歳(114人),女子では17歳(67人)である。使用のきっかけについて,自分から使用した者は,男子では15.0%,女子では19.1%であり,勧められて使用した者は,男子では79.1%,女子では62.5%である。前回調査(自分から使用したのは,男子20.1%及び女子15.4%,勧められて使用したのは,男子77.3%及び女子74.3%)と比べ,女子が覚せい剤使用に積極的になったことを示している。 今回調査において,覚せい剤使用のきっかけとなった相手を見ると,男子は知人が65.9%,暴力団関係者が24.1%であり,女子では,知人が43.7%,暴力団関係者が23.5%,配偶者が15.4%となっている。 IV-18表は,初回使用時の理由を見たものである。 今回・前回両調査を通じて,男女とも「一度やってみたかった」とする回答が最も多い(ただし,昭和56年の女子は「痛み止め」の方が1人多く,第1位である。)。 また,前回調査と比べ,男女とも覚せい剤に対する好奇心は高くなっている。特に,女子は「一度やってみたかった」とする回答は12.3ポイントも増えている。 IV-18表 覚せい剤の初回使用の理由 初回使用時の生活状況を見ると,男女とも,「暇だった」(男子26.1%,女子21.7%)が最も多く,次いで,男子は,「失業中だった」(16.3%),「仕事がうまく行かなかった」(12.1%)であり,女子では,「夜の仕事が忙しかった」(17.4%),「家出していた」(12.8%)となっている。IV-29図 覚せい剤初回使用時の支払い IV-29図は初回使用時における代金支払いの有無を見たものである。無償の者(平成6年は男子79.7%・女子87.8%)が圧倒的に多い。しかも,前回調査より比率は男女とも上昇している。 IV-19表 覚せい剤の使用を継続した理由 IV-30図 覚せい剤の使用期間 IV-19表は,使用継続の理由を見たものである。男子は,今回・前回両調査とも「気持ち良さが忘れられない」の比率が最も高いが,女子は,前回調査では男子と同じであるが,今回調査では「薬効消失後の疲労除去」の比率が最も高くなっている。 覚せい剤の主な入手先については,男子では,「暴力団員から買う」が29.4%で最も多く,次いで,「知人から買う」が27.4%,「売人から買う」が24.2%,「知人,暴力団員又は身内からもらう」が17,6%となっている。 女子では,「知人からもらう」が24.6%と最も多く,「知人から買う」が18.7%,「売人から買う」が15.4%と続いている。女子については,身内,知人及び暴力団員から無償で入手する者が合計して46.0%となっている。 IV-30図は,覚せい剤の使用期間を見たものである。 3年を超える者の比率が圧倒的に高く,しかも,前回調査より大幅に上昇している。 覚せい剤の使用頻度について,1日1回以上使用していた者が,男子では40.7%であるのに対し,女子では59.3%に達している。前回調査と比べ,女子においては,1日数回使用する者の比率が38.5%から44.6%へと高くなっている。 さらに,女子について,有職者と無職者に分けて比較すると,有職者で1日1回以上使用している者は55.9%であるのに対し,無職者は同じく61.9%となり,無職者の生活に問題があることが推測される。 IV-20表 覚せい剤購入のための資金源 覚せい剤購入のための資金源をIV-20表によって見ると,今回調査では,労働収入及び小遣いを挙げた者は,男子では62.2%,女子では50.3%であり,また,前回調査と比べ,資金源として「覚せい剤を売る」との回答が大幅に減少した。逮捕前1か月間に,覚せい剤の入手に使用した金額を見ると,無償を含め5万円以下と回答した者は男子で64.4%(前回調査では53.7%),女子では71.3%(同57.7%)である。女子においては,無償で使用している者が39.0%(同34.3%)と多いことが注目される。 覚せい剤の使用継続による仕事,家庭への影響の有無及びその内容について,「影響なし」と答えた者は,15.1%であり,前回調査の44.4%と比べ大きく減少している。 「影響あり」との回答のうち,仕事をしなくなった者が,男子では46.4%,女子では36.1%と最も多く,離婚した者は,男子は17.9%,女子においても12.5%に及んでいる。 覚せい剤中毒症状のない者は32.2%であり,他の者は,集中力等の減退(34.8%),不安感(28.3%),多弁・多動(27.2%)等を経験している。 |