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1 終局裁判 地方裁判所及び簡易裁判所による通常第一審における薬物犯罪の終局処理人員を見ると,覚せい剤取締法違反は,昭和57年の1万5,886人をピークとして以後減少傾向にあったが,平成3年にやや増加してその後はおおむね横ばいの状況にあり,5年は前年より412人(3.8%)増加して1万1,193人となっている。昭和20年代後半の覚せい剤事犯激増期における通常第一審の終局処理人員は,30年の7,544人が最多であり,57年と比べるとかなり少ないが,これは,当時の覚せい剤取締法違反は,略式手続によって処理されるものが多かったことによる。
これに対し,麻薬取締法違反,大麻取締法違反及びあへん法違反の終局処理人員は最近増加傾向にあり,平成5年においては,麻薬取締法違反が前年より7人(3.9%)増加して185人,大麻取締法違反が前年より154人(25.0%)増加して771人,あへん法違反が前年より26人(136.8%)増加して45人となっている。あへん法違反は,人員は少ないものの,増加率が顕著である。 また,毒劇法違反の終局処理人員は,このところ500人台でほぼ横ばい状態が続き,平成5年は557人となっている(巻末資料IV-4表参照)。 平成5年における通常第一審の薬物犯罪終局処理は,簡易裁判所で処理された毒劇法違反の5人を除き,いずれも地方裁判所で処理されている。処理の内訳を見ると,覚せい剤取締法違反では,有期懲役1万1,179人・無罪8人・公訴棄却決定6人,麻薬取締法違反では,有期懲役184人・無罪1人,大麻取締法違反では,有期懲役770人・無罪1人となっている。あへん法違反ではすべてが有期懲役である。毒劇法違反では,地方裁判所におけるものが,有期懲役550人・罰金1人・公訴棄却決定1人,簡易裁判所におけるものが,罰金4人・公訴棄却決定1人となっている。 また,平成5年における地方裁判所による通常第一審の終局処理人員総数(4万8,236人)に占める薬物犯罪に係る人員の比率は,覚せい剤取締法違反が23.2%,麻薬取締法違反が0.4%,大麻取締法違反が1.6%,あへん法違反が0.1%,毒劇法違反が1.1%となっており,これを合計すると終局処理人員総数の2割5分を超えている(司法統計年報による)。 |