前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
2 検察庁における処理状況 昭和57年以降の薬物犯罪の起訴率を見ると,覚せい剤取締法違反は同年の89.2%から全体として低下傾向にあり,最近3年は85%台で推移している。
麻薬取締法違反の起訴率は,若干の起伏はあるものの,60%台から80%台の間にあり,平成2年以降はおおむね70%前後で推移し,6年の起訴率は71.0%となっている。 また,大麻取締法違反は,おおむね60%前後で推移している。 あへん法違反の起訴率は,平成3年までは極めて低く,同年の6.3%が最高であったが,これは,その大部分が,観賞目的と推測されるけしの栽培事案であり,ほとんどが起訴猶予処分に付されたことによる。ちなみに,3年までのあへん法違反の起訴猶予率を見ると,他の事犯と比べて極めて高く,最も低い3年においても93.3%となっている。しかし,4年以降起訴率が上昇する傾向にあり,6年は39.9%となっている。 毒劇法違反の起訴率は,各年とも90%台で推移しているが,起訴人員に占める略式命令請求人員の比率が高く,平成6年はその比率が74.3%となっている。 ちなみに,検察統計年報によれば,平成6年における検察庁既済事件(交通関係業過及び道交違反を除く。)の起訴率は61.0%であり,これと同年における薬物事犯の起訴率を比べると,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び毒劇法違反は高く,あへん法違反と大麻取締法違反は低くなっている。 なお,処理人員中に少年が占める比率の傾向を見るため,平成6年における家庭裁判所送致人員の処理総人員に占める比率を算出すると,毒劇法違反が圧倒的に高く63.5%となっており,以下,大麻取締法違反(12.1%),麻薬取締法違反(5.8%),覚せい剤取締法違反(4.8%),あへん法違反(0.5%)の順であり,毒劇法違反は,他の薬物犯罪と比べて少年の占める比率が極めて高いことが分かる(巻末資料IV-3表参照)。 |