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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第3章/第1節/4 

4 覚せい剤取締法令

 覚せい剤は,昭和23年制定の「(旧)薬事法(昭和23年法律第197号)」及び「(旧)薬事法施行規則(昭和23年厚生省令第37号)」によって,劇薬として指定されるとともに,販売等に関する規制が行われた。
 しかし,濫用防止の効果が上がらなかったため,昭和26年,「覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)」が制定された。同法は,覚せい剤の用途を医療及び学術研究のみとし,覚せい剤を取り扱うことができる者を限定して,それ以外の者による輸入,製造,譲渡し,譲受け,所持,使用等を禁止し,違反行為に対する罰則を設けた。
 同法は,制定後,今日までに12回にわたって改正されているが,その主なものは,次のとおりである。
 まず,昭和29年の改正(法律第177号)により,罰則の法定刑が引き上げられ,営利犯・常習犯について刑罰を加重する規定が設けられた。30年の改正(法律第171号)では,罰則の法定刑が更に引き上げられ,覚せい剤の輸出並びに覚せい剤原料の輸入,輸出,製造,譲渡し,譲受け,所持及び使用についての罰則が新設された。また,48年の改正(法律第114号)では,常習犯の規定が削除され,単純犯・営利犯の罰則を輸入・輸出・製造とこれら以外の違反行為に区分してそれぞれ法定刑が引き上げられ,輸出・輸入・製造の予備罪,資金等提供罪,周旋罪が新設された。平成2年の改正(法律第33号)では,罰則中の罰金額が引き上げられ,3年の改正(法律第93号)では,資金等提供罪の処罰範囲の拡大,覚せい剤の運搬の用に供した車両等への没収範囲の拡大,国外犯処罰規定の新設等が行われた。