2 あへん取締法令 昭和20年,前記「麻薬原料植物ノ栽培,麻薬ノ製造,輸入及輸出等禁止二関スル件」によって,けしの栽培,あへん等の使用,販売等が禁止され,その輸入も厳重に制限され,この規制が23年制定の前記(旧)麻薬取締法にも受け継がれた。しかし,同法の下では,けしの栽培が原則として禁止され,その輸入も厳重に制限されていたため,医療用麻薬の製造に支障を来したこと,及び「けしの栽培並びにあへんの生産,国際取引,卸取引及び使用の制限及び取締りに関する議定書(昭和28年条約第10号)」の批准に備えるため,あへんの規制を麻薬一般の規制から分離することとし,29年,前記あへん法が制定された。 あへん法は,あへんの使用を医療及び学術研究だけに限定し,その適正な供給を図るため,許可制の下にけしの栽培を認め,あへんの輸入・輸出・買取り及び受渡しの権能を国に専属させ,けしの栽培,あへんの採取,あへん又はけしからの輸出,輸入,譲渡し,譲受け,所持,吸食等の行為を禁止して違反行為に罰則を設け,さらに,営利犯・常習犯・常習営利犯に対し刑罰を加重する規定を設けた。 同法は,制定後,今日までに8回にわたって改正されているが,その主なものは,次のとおりである。 まず,昭和38年の改正(法律第108号)により,常習犯・常習営利犯の規定が削除され,単純犯・営利犯の罰則を輸入・輸出・製造等とこれら以外の違反行為に区分してそれぞれ法定刑が引き上げられ,けしの栽培等の予備罪,資金等提供罪,周旋罪等が新設された。また,平成3年の改正(法律第93号)により,資金等提供罪の処罰範囲拡大,あへん又はけしからの運搬の用に供した車両等への没収範囲拡大,国外犯処罰規定の新設,罰金額の引上げ等が行われた。
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