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 平成 7年版 犯罪白書 第3編/第4章/第4節/3 

3 更生保護

(1) 外国人保護観察対象者の動向
 保護観察の対象となる外国人も近年増加している。III-21表は,最近5年間における新規に受理した保護観察対象者を国籍別に示したものである。

III-21表 国籍別保護観察新規受理人員(平成2年〜6年)

 総数に対する外国人保護観察対象者(朝鮮と中国を除く。)の比率は,平成2年の0.2%から6年の0.5%へと増加している。6年の外国人保護観察対象者(朝鮮と中国を除く。)の人員は209人であり,前年の182人と比べ,14.8%増加している。これを保護観察の種類別に見ると,仮出獄者が160人(76.6%)で最も多く,以下,保護観察付き執行猶予者26人(12.4%),保護観察処分少年15人(7.2%),少年院仮退院者8人(3.8%)の順である。これらを前年と比べる,と,仮出獄者が34人,保護観察付き執行猶予者が10人,それぞれ増加し,少年院仮退院者が同数であり,保護観察処分少年のみ17人減少している。
 III-22表は,平成5年・ 6年の各3月31日現在における,特別永住者を除く外国人保護観察対象者を国籍別及び保護観察の種類別に示したものである。これは,一定時点における保護観察係属中の人員であるが,外国人保護観察対象者の総数は,6年が308人であり,前年の234人と比べ,31.6%増加している。中でも,アジア地域の出身者が最も多く,74.7%を占めている。

III-22表 保護観察係属中の外国人の国籍別人員

(2) 外国人保護観察対象者の処遇等
 保護観察の対象となる外国人については,日本語による意思伝達の困難な者が多いこと,通訳人の確保が容易でないこと,本人が成育した社会の文化や制度の違いから生活習慣や罪悪感・規範意識が異なること,職場の開拓が難しいこと,種々のハンディのため福祉・医療の援助が得にくいことなどの処遇上の問題点が挙げられる。これらの対応策としては,保護観察の手続等の各国語対訳付きガイド・ブックの作成,民間協力による通訳人の確保,保護観察官の語学研修等が実施されている。